碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

映画「帰ってきたムッソリーニ」

現在多大な困難に直面してるイタリアに愛を込めて。全然解決しない移民難民問題

ばかりか、あっという間に世界中に拡散されたウイルスによってグローバル化

負の側面を見せつけられた21世紀の我々の姿は、”あの男”の目にどう映る…?

 

 


映画『帰ってきたムッソリーニ』予告編

 

帰ってきたムッソリーニ (SONO TORNATO)

公開:2018年   製作国:イタリア  上映時間:96分

原作:ティムール・ヴェルメシュ「帰ってきたヒトラー

監督:ルカ・ミニエーロ  音楽:パスクァーレ・カタラーノ

出演:マッシモ・ポポリツィオ  フランク・マターノ  ステファニア・ロッカ

 

 

 ↓元ネタのアレの感想はこちら

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

2017年のある日。ローマの一角、ある石碑の側に「両足首をロープで縛られた

スキンヘッドのおっちゃん」が降ってきました。困惑ぎみに町を練り歩く軍服の

おっちゃんは「ある人」にそっくり。人々から写メを求められ…

 

(以下、「帰ってきたヒトラー」参照)

  

※※※

 

(SONO TORNATO → 私は帰ってきた)

 

ベニート・ムッソリーニ。イタリアの元独裁者。ファシズムの産みの親。通称

”ドーチェ(統帥)”。ナチスドイツ(+日本)と同盟を組み帝国樹立を目指すも失脚、

逃亡中に拘束され処刑。ずっと昔、吊るされた遺体の写真を見て以来強烈に印象に

残っています。というか私が彼について知っていることの大半はあの写真です。

そもそも”ファシズム”とは何、を明確に定義するのって難しいみたい。

 

 

”あの映画”のヒットに便乗して製作されたネタ映画だろうくらいの軽い気持ちで

視聴したものだから、ほぼ同じ物語を見せられて驚きました。原作準拠なのか、

「どの国も似たようなもん」感を出したかったのか…。

 

とはいえ完全コピーではなく所々異なる点があります。「帰ってきたヒトラー」を

わざわざチェックし直す余裕はないから3年前の記憶だけが頼りですが、蘇った

ヒトラーは一緒に死んだエヴァ・ブラウンについてほとんど気に止めていなかった

のに蘇ったムッソリーニは一緒に処刑されて吊るされた女性のことを忘れていま

せん。そこは少し好感を持てました。やっぱ”イタリア男”なんだなと。冴えない

映画監督志望のカナレッティの恋に手を貸してやるドーチェは微笑ましい。

さらに、イタリア女性の逞しさを知らしめるシーンもあります。怖いです…。この

映画において、ドーチェの扱いに対し、良くも悪くも女性たちの意志が重視された

点は注目すべきかもしれません。

 

ドーチェは厳しい。愛想笑いもしない。でも彼の力強く明確な言葉は長年政治

不信に陥ってる人々の心に響くのです。自分の頭で考えるより優秀な指導者に従う

方が楽です。普段は理性や道徳で押さえ込んでいる願望や怒りを呼び覚ますことも

あるでしょう。集団になればもっと強気に、過激になって…

 

でもやはりヒトラーという圧倒的な個性に比べるとムッソリーニはパンチが弱い。

イタリア人にとっての彼がどんな存在なのかよく分からないけれどヒトラーほど

過激な思想じゃ無かったようですね。ただし「小さな村の物語 イタリア」という

BSの番組で田舎のおじいさんおばあさんが語る戦争の記憶はかなり残酷だから、

美化すべき人でもない。

 

それでもヒトラーと違って彼の子孫は健在ですから、配慮は必要だと思います。

同じあらすじをなぞるにも ムッソリーニヒトラーのように犬好きでなければ犬の

くだりはほとんど意味が無いわけです(あのシーンのCGの出来が良く無い)。

 

 

再び帝国を築くことを目論む彼を突き動かすのは野心なのか、国家への愛、国家を

良くしようという熱意によるものなのか…「適度なファシズム」「行き過ぎない

独裁」なんてのは可能なのでしょうか?

 

というか、今さらたかがイタリア一国を掌握したからって

何になるのか???

 

…って意味でどうしても危機感が持てなかったんですよ。ドイツならまだしも。

移民やマイノリティが苦しむのでしょうが、イタリア一国が独裁に染まった

ところで世界に大きな影響は…私はイタリアを甘くみすぎかしら? ドーチェが

自分が死んでからの歴史を学んだなら、変えるだけムダと諦めて新しい恋をして

のんびり暮らせばいいのに…そんな気分にさせられるほど、彼の悲願が叶う気が

しません。イタリア人の完全なコントロールは困難。彼ももう若くないんだし。

(ただしドイツのチョビヒゲにはもう関わりたくないと思う程度には学習していた)

 

イタリアに対して随分失礼な発言をしてますけれど、同じあらすじを辿るのでは

無くドイツとは違うイタリアとしての選択を見たかったです。ひねりが欲しい…

政治家になっている実在の孫娘と対面するくらいのやらかしコメディっぷりが

あれば私は評価したかも。 

 

 

 

 

思ったより書くことがありつつもやっぱり「帰ってきたヒトラー」ありきから抜け

出せない作品だと思います。

  

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