碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

TVアニメ「どろろ」 (2019年版)

また放送大学単位認定試験が近づいて参りました。さくっと書きます。

手塚治虫の名作のリメイク版です。AmazonPrimeVideoにて全話視聴しました。

戦国の世、失われた身体を取り戻すため妖怪と戦う若者と彼を慕う小さな盗賊…。

(原作・旧アニメは未視聴。実写映画版をちらっと観た程度)

 


TVアニメ「どろろ」 オープニング・テーマ 女王蜂「火炎」OPノンクレジット映像

 

どろろ (2019)

 

原作:手塚治虫どろろ」(小学館/秋田書店)  全24話

監督:古橋一浩  キャラクター原案:浅田弘幸  音楽:池頼広

アニメーション制作:MAPPA手塚プロダクション

声の出演:鈴木拡樹  鈴木梨央  佐々木睦  内田直哉  水樹奈々 他

  

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

戦国の世、自領の荒廃を憂い、その繁栄と自身の栄華を夢見た醍醐景光は神仏に

見切りをつけ、”地獄堂”なる寺に眠る十二体の鬼神の力を借りることにしました。

代償として彼の世継ぎは身体のほとんどが欠けた姿で生まれてきました。母親の

嘆きをよそに、景光は我が子を忌み、川に流してしまうのです…。

 

十数年後、鬼神との約定のおかげで醍醐の国は恵みに溢れ、人々は平和に暮らして

いました。しかし周辺諸国にいくさの気配が絶えることは無く、醍醐の国も豊かさ

ゆえに常に他国から目をつけられていました。

 

そんなある日、全身が作り物の若者が両腕に仕込まれた刀を繰り出して人を襲う

妖怪を倒しました。目が見えない。話せない。耳も聞こえない。そんな若者に偶然

助けられる形になった幼いこそ泥・どろろ。両親を失い一人きりのどろろは彼を

気に入り、勝手に旅に同行することに…。

 

鬼神を宿した強大な妖怪を倒すごとに身体の一部が生えていく若者、百鬼丸

醍醐の忌み子は ある義手・義足作りに長けた医師に拾われ、生きながらえていたの

でした。身体を奪った鬼神を探し、荒みながらもどこか美しい世界を彷徨う彼らは

やがて醍醐の国に辿り着き、領主一族に存在を知られることに。そして百鬼丸

身体を奪い返すたびに醍醐の国に災いが増えることにも気付いていました。国を

守るため、景光や妻の縫の方、そして彼らの世継ぎの多宝丸が下した決断は…。

 

※※※

 

侍が戦を繰り返し、妖怪が溢れ、次々に起こる天災。犠牲になるのはいつも弱者。

この世界は過酷すぎる。それでも花は咲き、みんな汚れながら必死に生きている。

そもそも鬼神にしても妖怪にしても、なんでそんなに人間が喰いたいんだろ。

作中で喰われてる人間は老人やおっさんが多くてあんまりおいしそうに感じられ

なかったな…。

 

身体に障害を持つ人の困難がよく描かれていると思います。五感が戻ればすぐ幸せ

というわけでもない。一般人では手も足も出ない妖怪や鬼神を次々撃ち倒していく

百鬼丸は、身体の一つ一つを取り戻すにつれて不便になっていきます。人としての

身体を取り戻すために命を殺め、人の心から遠ざかっていくのです…。まぁでも

人形のようにきれいなお顔をしていらっしゃるよね百鬼丸は。

 

50年以上前に執筆された原作やTVアニメから引用した設定や演出が多いとしたら

いろんな作品のルーツになっていることがよく分かりますね。例えば「犬夜叉」の

土台はこの世界観なんだろうなぁとか、我が子のために素手で熱いおかゆを受ける

シーンも、ある条件を満たすと肌に浮かぶ地図も、どこかで見た気がします。

 

作画は現代風で手塚氏の面影は少なめ。ただ、女性キャラクターの名前に手塚作品

特有のお遊び要素が残っているのでシリアスな雰囲気の中で若干浮いております。

孤児たちと暮らす少女・みおのエピソードのあたりであまりの悲惨さに最後まで

観られるか不安になったけどどうにか見通しました。(天邪鬼回はかなりの息抜きっ

ぷり) みおは失ってしまったけれど、どろろと百鬼丸が徐々に育み、時々ほつれ、

また強固になる絆がたまりませんね。

 

「多くの人間の幸福のために少数の者を犠牲にして良いのか?」

 

人類がたびたびぶつかる問題であり、このアニメでも幾度も突きつけられます。

それを実行しつつ自分が犠牲に回ることのない者は批難されますが、醍醐景光

犠牲にしたのは世継ぎであった我が子。そこはまだマシとしても百鬼丸からすれば

んなこと知ったこっちゃない。どうして自分だけが、という怒りはごもっとも。

どろろも含めて彼の悲しさに寄り添ってくれる人が少なくて寂しかったです…。

そして景光は最後の最後に、この問題に対しての認識が最初から間違っていた

ことに気付きました。全てを失った後で…。力が全ての侍が支配する世が終わり、

弱く虐げられた者たちが、誰かを犠牲にしなくて済む新しい世界を築くのだと信じ

たいですね。どろろと百鬼丸が一緒にいられる世界であって欲しい。

 

みおの口ずさむ「赤い花白い花」は時々思い出す好きな歌です。戦国時代に誕生

した歌じゃあないんだけどまぁいいか。

 

TVアニメ「どろろ」Blu-ray BOX 上巻

TVアニメ「どろろ」Blu-ray BOX 上巻

  • 出版社/メーカー: バップ
  • 発売日: 2019/05/22
  • メディア: Blu-ray