碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

映画「ふたりの女王 メアリーとエリザベス」

人類の長い歴史上、時々不思議な偶然が発生します。美しく優雅な悲劇のスコット

ランド女王、メアリー・スチュアート。苦難の末にイングランド女王となり、

国家に全てを捧げ後の大英帝国の礎を築いたエリザベス・チューダー。 同じ時代、

お隣同士の国、しかも血縁関係のある対称的な女王が誕生した偶然も後世の人々の

心を惹きつけています。ここに二人の女王にまつわる新しい伝説が誕生しました。

 

真面目な歴史映画が観たい気分でした。正直あまり面白いと思わなかったのだ

けれど、いろいろと思うところがあったのでそれなりに感想を書きます。

 

 


Bunkamuraル・シネマ3/15(金)よりロードショー『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』予告編

 

ふたりの女王 メアリーとエリザベス

(原題:Mary Queen of Scots)

2018年 アメリカ合衆国・イギリス  上映時間:124分

製作・配給:フォーカス・フィーチャーズ他

監督:ジョージー・ルーク  音楽:マックス・リヒター

出演:シアーシャ・ローナン  マーゴット・ロビー  ジャック・ロウデン他

 

  

ざっくりとしたあらすじと感想

 

メアリーは幼少時にフランス王妃となるべく大陸へ渡り、優雅なフランス宮廷の

光を浴びて育った気高く美しい女王。夫の死により十数年ぶりに帰国するのは

美しい自然を誇るもカトリックプロテスタントの両者が血と血で争う物騒な

スコットランド。権力欲にまみれた貴族は決して王家に忠実でなく、お隣のイング

ランドも干渉しまくってくる。帰国早々プロテスタント支持の有力者に「カト

リックな上に女の王なんてダメだ」と極端に差別的な言葉を吐き付けられる

メアリー。戦いが始まりました。まずは再婚し、世継ぎを得なければ…。王位の

正当性の疑わしいエリザベスより、自分の方がイングランド女王にふさわしいの

だから!!

 

大陸から戻ってきたばかりの18歳のスコットランド女王、うやうやしく手紙を

交わしながらイングランドの王位継承権を主張する従姉妹(正しくは従兄弟の娘)、

これから夫を持とうとする美しい女性の肖像画を目にし、自分一人に権力を集中

させるため「処女王」を通そうとするエリザベスの心はざわめくのでした…。

 

※※※

 

字幕と吹き替えを比べるとかなり違うセリフを言ってますね。

 

最近の風潮に併せたジェンダー色の強い映画となっております。メアリーの破滅の

原因となった夫選びの失敗は彼女の愚かさが蒔いた種以上に男たちの悪辣さのせい

でありメアリーは犠牲者って風味が強いです。これは諸説あるでしょうが…。

みんなヒゲ面で見分けがつかない…あ、2度目の視聴で気付いたけれどダーンリー

卿ヘンリーの父親は「ダウントン・アビー」のベイツさんの人だわ。

 

 

エリザベスはイケメンなロバート・ダドリー卿に夢中だけど、彼に妻がいる点は

ノータッチ。彼との結婚は拒み、政治的理由でメアリーの夫候補にしたりと女性と

しての心を必死に押さえつけている。"男"であろうとし…と言いつつ服装や趣味は

女性のものだけど…政治的な”女房役”に側近ウィリアム・セシルを持っている。

メアリーに激しく嫉妬しているも男の世界で共に戦う女王として認めている。

 

メアリー側にはロクな男がいない…女王の下に居つづけて満足する夫はいない。

必ず王になりたがる。例えばカスティーリャ女王フアナのダンナフィリップとか

ね…だから女王は身を律し、夫選びには慎重にならなければならない。にしても

本当に彼女に忠誠を誓いつつ支えられる能力を持つ男がいないこと。心許せるのは

姉妹同然の女官たちと無力な音楽家くらいで…。

 

とはいえメアリーの高すぎるプライドにも問題があると描かれている。女はダメ

だと言った者をその場で追い出しちゃったら女は感情的と言われても仕方ない…

度胸が有り自己の方針を持っているのはいいけれど側近の忠告を全然聞かない。

自国での権力基盤を安定させる前に国力の差のあるイングランドの王位継承権を

押しまくり、ケンカを売り続けてる時点で賢明じゃないんだよね…。

 

この映画はかなり服飾やセットに凝っていて、メアリー、女官、スコットランド

貴族や兵たち、黒衣の群れのインパクトは強烈。歴史映画を現存してる城で撮影

できるのは強みだなぁ。時代考証がきちんとして…るとは言えないか黒人のイング

ランド大使がいるようじゃ。でも肖像画に沿ったようなエリザベスの白化粧が悲痛

すぎて…。この映画で一番気に入らなかったのはメアリーにコンプレックスと

愛情を抱き卑屈になるエリザベスかな。保護してもらいたい相手へのあの態度は

本当に無いわメアリーよ…。いくら美しいからってこんな愚かな女のことは心の中

から容赦なく締め出してかまわないと思う。そうか、できないから困るのか。

美女ってのは実に厄介だ。

 

女の心を殺して男にならねば女王になれないのだろうか? (実際のエリザベスは

老齢になってもロバート以外の男と遊んでたらしい) それでも女王として君臨し

続け天寿を全うすることができた勝者はエリザベスの方、と思わせておいて…子を

得ずに亡くなったため結局、必死の思いで授かったメアリーの息子がイングランド

王位も継ぐことに。彼は王としての能力は低かったらしい。それでもやはり王家の

血を継いだ方が勝者だという見方も強いわけで。

 

…結局メアリーもエリザベスも二人とも幸せじゃないのよね。これじゃ恋に溺れる

愚かな女の方が一時的に満足できるだけ良かったんじゃ…悩ましい映画でした。

 

 

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