碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

藤崎竜「銀河英雄伝説」 8巻

銀河の歴史を揺るがしたシスコン英雄伝説フジリュー版コミカライズ、第8巻の

感想です。すでに9巻が発売しています。自由惑星同盟の軍人さんたちの背中の

ロゴが絆創膏にしか見えないわたくしですが高度な柔軟性を維持しつつ臨機応変

対処した記事を書く所存です。なんて妄言を吐いてたら本当に行き当たりばったり

無駄に長い記事になってしまいました…。8巻の表紙は初期のパターンに戻ったの

かと見せかけて、そこには一つたりとも輝く星はありません。

 

 

銀河英雄伝説 8巻

 原作: 田中芳樹(創元SF文庫)  作画: 藤崎竜

発行: 集英社  ヤングジャンプコミックス

週刊ヤングジャンプ」連載中

 

 

↓前巻の記事はこちら

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

下級貴族出身のくせに容姿端麗・頭脳明晰・冷静沈着(案外そうでもない)・高慢ちきと

全く可愛げの無い”金髪の孺子(こぞう)”ことラインハルト・フォン・ローエングラム元帥

20歳は今回偉そうなだけで前線には出ず、代わりに副官・キルヒアイス少将が帝国

内部の反乱鎮圧のため出陣しました。あわよくばラインハルトの片腕を抹殺できる…と

いういつものフレーゲル男爵の策謀には、ラインハルトの最愛の姉である皇帝の寵姫・

アンネローゼの友人ヒルデガルド嬢の実家・マリーンドルフ家を潰す意図まで含まれて

いました。

 

しかし度を超えた強欲と無思慮の持ち主なくせに無駄に軍事的才能のあった迷惑なカス

トロプ公爵は、天才・ラインハルトの側で彼の思考を吸収し続けたキルヒアイスの敵

ではありませんでした。カストロプ艦隊は惨敗、逃亡を試みたカストロプ公爵は主人に

絶望した臣下の手によって葬られました。公爵に幽閉されていたマリーンドルフ伯爵

(温厚で誠実な人柄が取り柄らしいけれど、カストロプ艦隊に粘り強く抵抗できる艦隊を

所持している点からいって決して無能ではないと思われる)も、男装してキルヒアイス

旗艦に潜入していたヒルデガルド嬢によって無事救出。この功績によりキルヒアイス

中将に。自慢の副官を持って鼻高々のラインハルト。めでたしめでたし!

 

…と、言いたいところですがいいかげん貴族どもの策謀を喰らう度にはね除けることに

限界を感じたラインハルトは策略に長じた参謀の存在を欲しました。ちょうど、イゼル

ローン要塞を自由惑星同盟軍に奪われた責任を負わされそうになっている不吉な義眼の

男、オーベルシュタイン大佐が自分を貴族どもから買い取れと売り込みに現れ…。

 

…一方、帝国からの亡命者ばかりでできた部隊「薔薇の騎士<ローゼンリッター>」

連隊をうまく使って味方の犠牲無くイゼルローン要塞を占拠した同盟軍のヤン・

ウェンリー少将は中将に昇進、またも自分自身望んでいない「救国の英雄」として

祭り上げられることに…。しかしこれで当分戦争は起こらないだろうと踏んだヤン

中将は退役願を提出し、念願の年金でぐーたら&歴史研究に没頭する趣味人生を

過ごすはずが、皮肉にも彼のもたらした犠牲無き勝利が世間に「もっといけんじゃ

ね?」な空気を作り出し、ある将校の過剰な敵愾心を煽る結果になりました。

 

ヤンの退職届は士官学校時代の恩師・シトレ元帥に却下されてしまいました。と、

いうのもかつて士官学校を主席で卒業したフォーク准将という男が政治ルート(=

コネ)で同盟最高評議会に持ち込んだ献策…イゼルローン要塞を手に入れたこの機に

回廊を越え、大艦隊をもって帝国本土に進行する崇高な「大攻勢」計画とやらに、

選挙を意識した最高評議会が多数決により可決してしまったというのです…。

(例のトリューニヒト国防委員長はこの時期の出兵を無謀と判断し反対に回ります)

 

フォーク准将の帝国領侵攻計画はフタを空けると実に抽象的で精神論、楽観論に

満ちた、70数年前の某極東の帝国軍人でも困惑しそうな(困惑するよね?)危うい

ものでした。まともな感覚を持つ軍人ならば頭を抱えたくなっても、一度命令が

降りたからには遂行しなければならないのも軍人なわけでありますが、はたして…

 

 

※※※

 

 

「雷神の槌<トゥールハンマー>」一発で艦隊ごと30万人が蒸発し、イゼルローン

要塞の捕虜は200万人、同盟による帝国への大攻勢の投入総員は3022万人…

あぁ、目眩がする。3000万が60%なら同盟軍の総数は約5000万人。今回

ヒルデガルド嬢登場の折り、「銀河帝国では女性は軍事や政治に関われない」との

発言がありまして、男性だけで同盟と対峙する頭数を確保できるってことは帝国の

方が同盟よりずっと人口が多いってことかな。でも同盟側の居並ぶ艦隊司令官の中

にはやはり女性の姿はありませんでした。フジリュー氏の極端な絵柄である程度

キャラクターの役割が読めるとしたら、明らかにアウトな予感を醸し出す中将が

一人いましたね…。遠征の無事を祈るばかりです。貴重な女性軍人キャラとして、

念願のヤンの副官になれた才女・フレデリカ中尉の今後の活躍にも期待。フレ

デリカ嬢だけでなくヤンの周囲にはどんどん人材が集まりつつあり、ユリアン

成績優秀な14歳、猫の元帥も元気で…ジェシカさんは…あぁ、書ききれない!

 

初登場時はひょうひょうとしてつかみ所のなさそうなおじいちゃん提督に見えた

ビュコック中将は今回熟練の老将っぽさの片鱗を見せてくれました。しかしどんな

有能な軍人が揃おうと、国家のトップの政治家連中が決めた無謀な出兵を思いとど

まらせる権利を誰も保有していないのでした。シビリアン・コントロールも考え

ものですね…。嗚呼、同盟軍3000万人、さらに言えば働き盛り世代3000万

人の命の重みはいかほどか…?

 

帝国側の有能な裏方担当候補、陰気な義眼の男、オーベルシュタインはゴールデン

バウム王朝初代皇帝ルドルフの御代ならば目の遺伝的障害を理由に抹殺されていた

だろうことから帝国を深く憎み、打倒する機会を欲していたとのこと。…それに

しては肯定的な楽しい人生を送っているように見えませんけど、気のせいかしら?

それとも周囲から目の障害のことで延々と言われ続けてきたのかな…?

 

 

やっぱり帝国も同盟もどっちも問題あるなぁ…(ただし帝国領内では生まれた星の

領主次第である程度当たり外れがありそう)なんて思っていたら、オレが第三の勢力

だぜ!! って主張するかのごとき奇妙な男が顔見せしました。その名もアドリアン

ルビンスキーですって…。

 

 

↓リメイク版アニメの公式サイト

 

いつのまにか放送開始が来月に迫っていますね。複数のキャラクターデザインが

判明しましたが、う~ん…旧アニメ版もフジリュー版も全肯定はできませんけど、

この両者は少なくともラインハルトに必須の際立つ美貌と覇気は揃ってるでしょ?

(道原かつみ版は完全未読) こっちはパッとしないような…他の連中も私の中で

しっくりこないです…。特にシェーンコップがキツいなぁ。絵柄に関係なく観る

予定はありません。アニメを視聴するには体力と精神力と知力が必要…。

 

 

銀河英雄伝説事典 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説事典 (創元SF文庫)