碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

ドラマ「ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館」

近頃「上級国民」というワードを見かける機会が増えましたが、みなさまは本当の

上流階級をご存じですか? 上流階級と言えばもちろん英国貴族………この導入は

今イチなのでボツにしますが要するに少し前に「ダウントン・アビー」という

大ヒット歴史ドラマにハマりまして、AmazonPrimeVideoで全6シーズン一気見

しました。本年中に映画が公開される予定とのこと、とても楽しみです。

 


「ダウントン・アビー」シーズン1 トレーラー

 

ダウントン・アビー 華麗なる英国貴族の館

2010年 ~ 2015年 イギリス (全6シーズン)

原案・脚本 : ジュリアン・フェロウズ

出演 : ヒュー・ボネヴィル  エリザベス・マクガヴァーン  マギー・スミス

    ミシェル・ドッカリー  ダン・スティーヴンス

 

 

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

20世紀初頭のイングランド北東部、ヨークシャーの小さな村に建つカントリー・

ハウス、通称「ダウントン・アビー」には代々グランサム伯爵の称号を持つクロー

リー家が住んでいました。現当主のロバートは元々財産目当てで結婚したアメリ

人の妻・コーラと円満な夫婦関係を築いていたものの、相続人と認められる男子に

恵まれませんでした。その上、長女・メアリーの婿にする予定だった従兄弟親子が

タイタニック号の沈没事故で急死します。妻の持参金を伯爵家の財産に組み込んで

しまっていたため、このままでは顔を見たことも無い遠縁の若者が伯爵位と財産を

受け継ぎ、3人の娘たちに待つのは暗い未来だけ…クローリー家の面々は、特に

ロバートの母・ヴァイオレットは焦りますが、ロバートは法律に抵抗する気持ちが

薄いようでした。

 

やがてダウントン村に暫定相続人となったマシューが現れます。ヴァイオレットは

メアリーをマシューと結婚させれば万事うまくいく、と画策しますが、例え優秀な

弁護士だろうが医者だろうが職業を持っている時点で中流階級…身分の低い男との

結婚などメアリーのプライドが許せません。マシューにとっても貴族の後継者の

地位になどてんで無関心で…

 

一方、館の階下で働く使用人たちもそれぞれの喜びや鬱屈を胸に秘めながら日々の

職務に打ち込んでいました。新しい使用人、ベイツがやってきます。彼はかつて

戦場でロバートの従卒だった縁で従者の職を得たのでした。ベイツはメイド長・

アンナに親切にされるものの、戦傷により足の不自由なベイツが職務を果たせるか

不審がる者や、出世を邪魔されたと恨み、嫌がらせをする者もいて…

 

 

※※※

 

 

遺産相続。結婚。領地経営。策略。ダンス。スキャンダル。晩餐会。恋模様…。

ダウントン・アビーの館で起こる小さな、あるいは大きな事件の数々。伯爵一家も

使用人もそれぞれがそれぞれなりの知恵、勇気、愛情をもって困難に立ち向かって

いきます。

 

実際に起こった事件を織り交ぜつつ、作中の月日はどんどん流れていきます。館に

電灯が点いたと驚き、設置されたての電話が鳴るとびびりまくり、厳格な執事長・

カーソンさんはこっそり電話に出る練習をし、初めて労働党から首相が出て、馬車

から車に変わったと思ったらいつのまにかモーターレースが大人気で…丁寧な時代

考証によって当時の生活様式が忠実に再現されているようです。英国近代史がノー

マークだったことが悔やまれます。だいたい名探偵ポワロの活躍した時代の少し前

あたりから始まるのだそうです。

 

第一次世界大戦を経て英国社会に押し寄せる変化が伯爵一家らを翻弄します。

貴族は徐々に特権を失いつつあり、経済的に苦しくなる一方。労働者階級は権利の

主張を始めて台頭します。死にものぐるいで生き残りの道を探すか、貴族の誇りに

こだわって潔く滅ぶかの選択を迫られる。一生使用人で終わるか、自立と出世を

試みるか…選んだ方法によって運を掴む者、さらなる地獄へ追いやられる者…。

貴族と労働者、どちらの葛藤も視聴者の共感を呼びます。あんなに豪華な生活を

送っていたのに…どんどん切り詰めていく様子はとても切ない…。

 

ロバート伯爵は貴族としてはかなり寛大な人物で、家族を愛していますし使用人の

事情にも理解を示します。でもやはり気位が高い貴族なので無礼は許さないし、

若い世代が自分を差し置いて好き勝手やるのは面白く無いし、美しいメイドに心が

乱れることもあり…まぁいろんな意味でこの人あってのお館です。映画「パディン

トン」のブラウン一家のお父さんと知った時は驚きました。

 

アメリカの大富豪の娘である当主夫人・コーラもまた聡明な母。美しくプライドが

高くやたら男性を惹きつける長女・メアリー(かなり身勝手な女性なので好きになれ

ませんがそこがいい、という男性もいるのかも)、誰にでも優しく進歩的な考えを

持つ末娘・シビル。その二人の間に挟まれ目立てない、幸せになろうとしても全然

うまくいかない次女・イーディス…。ハリー・ポッターシリーズでお馴染みの

マギー・スミスが演じるヴァイオレットおばあさまは皮肉屋で、長年の経験による

幾多の助言は周囲の人々を困らせることも救うことも数多く。彼女もこのドラマの

看板と言える重要な存在です。マシューの母・イザベルとのライバル関係にご注目

ください。

 

ヴァイオレットおばあさまの言うとおり、娘たちもなんだかんだ紆余曲折がある

けれど、結局は結婚に落ち着くまでの物語ともいえます。

 

使用人たちもみんな個性的で面白い。私は従者・下僕・執事やメイドと侍女の違い

なんて考えたこともありませんでしたが、従者ベイツとアンナの受難ぶりに頭を

抱えつつ、家政婦長のヒューズさんの頼りがいっぷりを尊敬し、根性悪くてズル

賢い下僕のトーマスはヤなやつだけど情けなくて憎みきれないヤツだ…などなど。

しかし厳格に定められていたルールと階級の社会も徐々にくずれていきましたね。

階上の伯爵一家と階下の使用人たちの間に信頼があってこそ、「ダウントン・

アビー」は生き残っていけたのでした。これからも、多分…。

 

(階級社会と言うより超絶コネ社会の気もしました)

 

イギリス…イングランドって国は歴史上はひどいことたくさんやってますけど、

その分大きな功績もあるしどこか魅力的で憎みきれませんよねぇ…。これはイギリス

だけじゃなく、ほとんどの国がそうなんでしょうね。