碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

ヤマザキマリ とり・みき「プリニウス」 8巻

昨日は「国際マヌルネコの日」だったそうです。マヌルネコって素晴らしいよね。

 

掲載誌「新潮45」がある事情で休刊になってしまってどうなることかと思ったら

無事「新潮」に移籍することができた、プリニウス総督(代理)と行く古代ローマ世界

紀行第8巻。アフリカ編の最終地点は古代屈指の大都市・アレクサンドリアです。

 

 

プリニウス 8 (バンチコミックス45プレミアム)

プリニウス 8 (バンチコミックス45プレミアム)

 

 

プリニウス 8巻

著者: ヤマザキマリ  とり・みき

発行: 新潮社  バンチコミックス45プレミアム

「新潮」連載中

 

 

 

 

 ↓前巻の感想です

blueflag01.hateblo.jp

  

ざっくりとしたあらすじと感想

 

ピラミス(ピラミッド)探検を終えたプリニウスとそのおとも衆はナイル川を船で

下り、アレクサンドリアに到着しました。この世の全てを記録する知識の集積場

たる大図書館では哲学者セネカの最後の手紙を託されたローマの使者が待ってい

ました。セネカは皇帝ネロ暗殺を企てたピソの同志と見なされ、自殺を命じられた

のです。

 

ローマ大火の真犯人を探す皇后ポッパエア。ローマ市の警視総督サビヌスの協力を

得て調査を進めた結果護衛隊長ティゲリヌスに行き着き、夫ネロと、妊娠した二人

目の我が子との未来のために彼と手を切ると決意します。しかしポッパエアは突然

体調をくずし、おなかのこどもと一緒に息を引き取りました。毒を盛られたよう

ですが、民衆の間ではネロが突き飛ばしたせいで死んだという噂が広がります…。

 

妻を失ったネロは加速的に精神の均衡を崩し、黄金宮殿の建造にのめりこみます。

財源は…反逆者と告発された貴族たちの財産でした。止める者のいなくなった彼の

メチャクチャな所業は尾ひれ付きで世間に広がり、ネロによれば彼を愛している

はずの民衆の目が確実に変わりつつありました…。

  

※※※

 

かつてアレクサンドロス大王が建設を命じた、プトレマイオス朝エジプトの首都。

世界七不思議の一つに数えられるファロスの大灯台。そして古代世界最高の学術の

殿堂と言われる大図書館。学びたい者は国籍・性別問わず受け入れるアレクサン

ドリアの空気に触れ、ここでやがて優秀な女性科学者が生まれるかもしれない、と

つぶやく我等がプリニウス

 

確かに後年生まれました。生まれたけど… … … 歴史はとことん残酷でした。

 

一方、とことんドロッドロのローマ。ポッパエアが拍子抜けするほどあっさりと

死にました…といってもこの物語はセネカを含めあっさり死んでいった人が多いの

ですが、巻末インタビューによれば作者のヤマザキ氏はあまりドラマチックな死を

好まないんだそうです。ポッパエアでもちゃんと描かれた方でした…ただし美女

なのに死に顔は容赦ない。彼女はいつのまにか、多分思い通りにいかない世界を

相手に一人で戦っても救われないと悟ったのか…もろい皇帝を支える賢婦人に趣旨

替えを試みたようですが、過去にそれなりの所業を重ねてしまったのだから悲惨な

死に方も仕方ないかも…。

 

ポッパエアと親しかったユダヤの商人・レヴィテも思ったより簡単に尻尾を出して

あっさり退場。ネロに幽閉され虐待されていた哀れなプラウティナは幸運を得て

脱走できました。問題は、ただ独り残されてしまったネロです。そして日ごと錯乱

していくネロをながめながらほくそ笑む陰謀家が大問題なのです…。

 

民衆も行き当たりばったりで流される生き物だから完全に善良な被害者といえず、

ローマの狂気の一端となっています。

 

偶然とはいえネロがギリシアへ向かうタイミングでギリシア方面に向かったプリ

ニウス一行。フェリクスさんとエウクレスがクレタのラビリンスで怪物退治をし、

(フェリクスさんの子ども好きと女好きは本物)、ロドス島の巨像も目撃。歴史と

伝説と神話と現実の境界を綱渡りしながら旅を続ける彼らは一応フェニキアのティ

ルス(シリア方面)を目指していますが、このままキプロスにでも移動してうまく

ネロから逃げ切れるでしょうか? ウェスパシアヌスがネロに同行するそうだから

配慮を期待したいところです…あ、息子のティトゥスが登場しましたよ。とっても

普通感に溢れた好青年でした。

 

 

 ↓ギリシアでオリンピックでマラソンなマンガ、2巻が出てました