碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

藤崎竜「銀河英雄伝説」 11巻

めっきり冷えてきましたね。

銀河の歴史を揺るがしたシスコン英雄伝説フジリュー版コミカライズ、第11巻の

感想です。途中「封神演義外伝」の短期連載を挟んだため、発売まで間が空きました。

 

 

銀河英雄伝説 11巻

 原作: 田中芳樹(創元SF文庫)  作画: 藤崎竜

発行: 集英社  ヤングジャンプミックス

週刊ヤングジャンプ」連載中

 

 

 

 

↓前巻の感想はこちら 

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

 

下級貴族出身のくせに容姿端麗・頭脳明晰・冷静沈着(案外そうでもない)・高慢ちきと

全く可愛げの無い”金髪の孺子(こぞう)”ことラインハルト・フォン・ローエングラム侯爵

21歳は、幼帝を威を借りてすっかり調子に乗りやがってあろうことか我々貴族連合

正義軍を”賊軍”などと呼び銃口を向けやがった許すまじ! 我々があんな卑しい連中に

負けるわけが無い! なぜって? もちろん名門貴族だからだ!! 我々にはガイエス

ブルク要塞がある! 総兵力も上だ! 総指揮官は歴戦の将メルカッツ提督だぞ!!

でもメルカッツの案よりシュターデン提督の献策の方が貴族らしくていいじゃないか!

首都星へ向け、行け、若者たちよ! なんて煌びやかな大艦隊、なんて勇壮な行軍なの

だろう…! これは勝ったな!

 

 

… … …え、シュターデン艦隊壊滅? なんで? 名門貴族なのに?

 

※※※

 

 

リップシュタット戦役の始まり。11巻の注目点としては、まずラインハルトの

軍勢を貴族連合軍の本拠地・ガイエスブルク要塞に引きつけて迎え撃とうとした

メルカッツ提督(故・菅原文太氏を想起させる)。貴族連合ではラインハルトに勝て

ないと分かっていながら、家族を人質に取られてやむなく総指揮官になったよう

です。そしてレンテンベルク要塞を守る、石器時代の勇者オフレッサー上級大将。

 「屍鬼」の酒屋の爺さんに負けない存在感を放つ人。しかも薬物使用。遠い未来の

銀河世界においても兵同士の直接対決があるみたいです。白兵戦はちょっとごちゃ

ごちゃしてて読みづらかったですけどね…。

 

エレク●リカルパレードもびっくりのきらびやかな貴族の大艦隊と血気逸る青年貴族

たちを描いてる時は楽しかっただろうな、フジリュー氏…。相変わらず極端です。

 

ミュッケンベルガー元帥に付いてたりラインハルトの指揮下に入ったこともある

シュターデン提督は元教え子のミッタ―マイヤー大将の奇策により青年貴族たちと

その持ち兵共々、早々に退場なさいました。容赦無し…。腐敗した貴族どもを一掃

する、と書くと爽快な気になりますけれど、実際には貴族たちの背後には彼らを

支える数え切れない領民(平民)が存在するわけでして、彼らが前に出て戦うことに

なります。先祖代々500年続いた生き方に疑問を持たない人もいるし、持ったと

しても簡単には変えられない。さらに悲惨なことに多くの貴族が、自分たちが支え

られている状態を当然の権利と捉え、あまたの命を背負う責任感が欠落していた。

(きっと帝国の辞書には”ノブレス・オブリージュ”なる語句は存在しないのだろう)

次期皇帝候補と目された二人の姫でさえも、腐敗した貴族の一員でしかなく…。

 

リップシュタット戦役中、いくつもの葛藤が生じました。もはや時代は変わりつつ

ある。貴族の中でもヒルデガルド嬢の率いるマリーンドルフ艦隊など、生き残りを

かけてラインハルト陣営に加わる者もいました。現実を直視できない大貴族らは

分裂し、自壊に向かうしかないようです…。しかし人類は自ら身分という区別を

作ったけれど、生物としての基本的な構造は皇帝だろうが奴隷だろうがさほどの

差異は無いはず…貴族たちがあそこまで傲慢になれる根拠は一体なんだろうね?

 

一方のラインハルトは身分を問わず優秀で若い幕僚たちを揃えつつありました。

一人一人の名前と個性を把握するにはまだまだ時間がかかりそうですが…。ライン

ハルトより帝国辺境部の平定を任せられた最も信頼される副官・キルヒアイス

辺境慰撫政策は実に穏健で理想的です。この赤毛の巨人、完璧超人のようです。

部下からの信頼も絶大です。ラインハルトとキルヒアイス、どっちの部下になり

たいかと問われたらそりゃ赤毛さんの方がいいと答えますよ私は凡人だし野心も

無いんだから!

 

…ただし、世の中彼のやり方が通用しない場合もあることは重々承知しております。

だからラインハルトのような苛烈な人も必要なわけで。そもそもキルヒアイス

ラインハルトとアンネローゼ様がいたじゃらこそ伸びたのだし。そしてオーベル

シュタインのようなひたすらに冷徹な参謀が必要なわけで…。確かに合理主義は

必要だけれども、困ったことに彼のナンバー2不要論が、ラインハルトとキルヒ

アイスの絆に水を差しつつありました。

 

時代は変わり、少年はやがて大人になり現実と戦う。彼らは大きな存在になりすぎ

ました。少年の頃抱いた夢を同じまま抱き続けることは叶わないのでしょうか…?

がむしゃらに宇宙を駆けてきた二人の少年の姿が、今の私にも懐かしいです。

(つまり感想記事を書くことがキツくなってきた)