碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

小説「封神演義 導なき道へ」

90年代後半、週刊少年ジャンプにて約4年間半連載し大ヒットした藤崎竜氏による

中華ファンタジーマンガ「封神演義」。今年2度目のTVアニメ化作品として18年

越しに放送された「覇穹 封神演義」は今度こそ『原作通りの』アニメ化を期待して

いた封神ファンの大多数を悲嘆に暮れさせる残念な出来映えでしたが、いつまでも

恨み言を吐いていても仕方がありません。「怪我の功名」とでも言うべきか、ヤング

ジャンプでフジリュー氏本人による「封神演義外伝」が短期連載され、さらに原作

終了後の世界を舞台にしたスピンオフ小説が発売されました。

 

…さて、いかがなもんでしょう?

 

封神演義 導なき道へ (JUMP j BOOKS)

封神演義 導なき道へ (JUMP j BOOKS)

 

 

封神演義 導なき道へ

著者 : 吉上亮  発行 : 集英社 JUMP j BOOKS

原作 : 藤崎竜封神演義」  原案 : 安能務訳「封神演義

 

 

 

 

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

最強の道士にして最強の宝貝(パオペエ)”雷公鞭”を持ち、最強の霊獣”黒点虎”を駆る

申公豹。最強であるがゆえにどこの陣営にも所属せず、皆に一目も二目もおかれ、

常に距離を保ちながら仙界、そして人間界の戦いを見届けた彼は、人間界を去った

仙人、道士の新たな住まい・蓬莱島の教主となった楊ゼン(変換困難な字のためやむお

えずカタカナ)に呼び出されました。

 

かつて二つに分かれていた仙人界…崑崙山、金ゴウ島。人間界の混乱が両者の争いの

引金となった結果、多くの仙道が巻き込まれ、命を落とした仙界大戦…そして世界を

裏で操っていた「歴史の道標」を討つことを目的とした封神計画…それらは一体何で

あったのか。正確な記録を後世に残すため、所属に偏らない歴史書の編纂を進めて

いる楊ゼンは、申公豹に一つの頼み事をします。戦乱の中命を落とし魂魄になった

仙人・道士たちの暮らす神界へ赴き、関係者に聞き取りをしてほしいと。奇人変人の

多い仙道のこと、殷周革命・封神計画の中心人物だった太公望が行方不明の今、

やはり申公豹が聞き手として最適の人選でした。

 

かくしてヒマな申公豹は、黒点虎に乗って神界へ向かうのですが…。

 

 

● 第一章「太極符印」 … 普賢真人

 

崑崙十二仙の一人。柔和な容姿の平和主義者。しかし強い意志の持ち主でもある。

太公望との出会い、親友になっていくまでを語る。

 

● 第二章「老いたる象徴と風の分岐」 … 聞仲

 

長年殷の太師として生きてきた金ゴウの道士。彼を支え続けた殷への思いとは、

そして親友・黄飛虎とともに見たかった未来とは…

 

● 第三章「戦の遊戯」 … 趙公明

 

金ゴウ島の三強と言われた妖怪仙人。何よりも華麗な戦いを好む彼が、千五百年前

崑崙山の教主・元始天尊に戦いを挑んだ顛末が語られます。

 

● 第四章「黄家の血」 … 黄天化

 

崑崙山の若い道士。父・黄飛虎の死により生きる目的を失いかけた上に妖怪仙人の

呪いの傷により死期が迫っていた。何のために戦うのか。何を遺すのか…殷王朝

滅亡を目前に、彼の決断とは?

 

 

人間の歴史を思い通りに操っていた「歴史の道標」がいなくなり、自分たちの

新しい世界を創り始めることになった地上の人間と、彼らに直接影響を与えること

なく神として見守ることにした仙人たち。同じ過ちを二度と繰り返さないため、

未来に何かを伝えたい…申公豹は一人一人の思いをどう受け止めるのか。

 

 

※※※

 

今回の感想は通常の記事よりさらに個人の好みや偏見に満ちております。それほど

昔から思い入れの強い作品だったということでご容赦くださいませ。

 

まず購入を迷っておられる方にとても大事なお知らせ。

 

挿絵はありません。

 

ただし、フジリュー氏書き下ろしのポスターがついてます。それと、本作と7月

19日発売の外伝コミックスのオビについてる応募券で「スペシャル複製原画」が

当たる…かもしれないそうです。欲しいです。

 

この手のスピンオフ小説に過剰な期待をしてはいけないと分かっていたのですが、

アニメが…でしたのでもう一度「本物」を取り込みたくなったのです。でも、やはり

「すっごく面白かったよ!!」とおすすめできる作品ではありませんでした…。

 

原作完結後、みんなは、特に太公望はどうなったの? という好奇心を満たすより、

過去のあの時彼はこう思ってた、という主要キャラクター4人の回想と心理的掘り

下げが中心になるので、登場人物は絞られておりますし、自分の心の中にいる彼らと

ズレを感じてしまうとなかなか受け付けがたくなります。

(あくまで個人の主観によります)

 

私は特に聞仲様がダメでした…「覇穹~」の放送が始まってから原作を再読したら

彼の圧倒的強さより弱さばかり目につくようになって、今まで心の中で至高の位置に

いたのが相当に下がってしまいました。思い出補正なんてそんなもんかなぁ…。

言いたいことは山ほどありつつネタバレになるので小出しでガマンしますが、これ

じゃ黄飛虎と対等の友情じゃないじゃん! 殷王朝に対してと同じ、自分の思った

ようにならないかな~って期待して操ろうとしてるようにしか見えなかった…(個人の

感想です)。男の友情を描くのって難しいんだなぁ…。まぁ聞仲様は元々他人との

距離の取り方が下手だと思いますけどね? ただし申公豹と殷の太子2人のことに

触れた点は良し、かな。原作はそのあたり完全にスルーされちゃったので。

 

比較的面白かったのが趙公明の章ですね。あぁいうぶっ飛んでる思考回路の持ち

主の方がかえって自由に書きやすいのかも。そのくせ彼は完全におかしいわけじゃ

なく、自分なりに世界の在り方を冷静に見た上で構築された美学なのですからね。

みんな戦うための宝貝持ってるのになんで戦っちゃダメなの? はもっともな主張。

ただし重力5千倍は無理がありますよ元始天尊さま…。

 

天化も普賢真人も楊ゼンも個人的には特別に好きなキャラクターではなかったので

(嫌いでもないですが)今回あまり語れることはありませんが、天化の章はちょっと

内面の葛藤の描写がしつこいかなと、もっとあっさりしてた方が良かったのではと

思っています。そして語尾に「~さ」をつければ天化ってもんじゃないですぞ…?

 

心理描写以外にも、妲己になる前の妲己妲己と呼んじゃダメでしょう…???

原作でもやっちゃってて散々ツッコミ入ってなかった? 王氏、もしくは「(九尾)

狐狸精」にしとかないと。わざとやったの? それとも本当に元々「妲己」って名前

だったっていう設定なの? 普賢も、本人が同席してる場所ならともかく元始天尊

二人きりの時に太公望を「望ちゃん」と呼ぶのは、目上の人相手や公的な場で親の

ことを話す時に「母が~」でなく「お母さんが~」と言っちゃうようなもんで、

師匠に対する礼儀に反していないでしょうか? (私に仙人界や古代中国の礼節の

知識はありませんが) …などなど、細かい所が気になってしまいました。

 

 

しつこいくらい注意を入れてますけど、あくまで私個人の感想です。

 

 

あぁ、なんといっても原作コミックですなぁ… 

 

 

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