碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

池田理代子「ベルサイユのばら」 14巻

あの少女漫画界の不朽の名作ベルばらこと「ベルサイユのばら」が40年の時を経て

復活! 本編全10巻の続きの11巻より、登場人物たちが物語の裏で出会っていた

出来事にスポットを当てた短編集「エピソード編」として連載されてきましたが、この

たび14巻にて無事完結しました! (ただし「以下続刊」扱いなので今後新作の出る

可能性有り?)

 

また買い忘れていたんですよ…書店の少女マンガコーナーあまり見ないから…

 

ベルサイユのばら 14巻  エピソード編Ⅳ

著者: 池田理代子   発行: 集英社  マーガレットコミックス

 

 

↓前巻の感想記事はこちら 

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

オスカルを、アンドレを、そして王妃マリー・アントワネットの生、あるいは死を

いつも傍らで見続け、激動の時代を生き抜いた女性、ロザリー・ラ・モリエール

彼女の夫である新聞記者ベルナール・シャトレとかつてオスカルの部下として民衆の

ために戦ったアランはフランスの共和制を断ち切り皇帝になろうとするナポレオンを

危険視し、暗殺を試みますが失敗、その場で銃殺されました。

 

ロザリーはベルナールの指示により暗殺騒動に先んじて息子フランソワ…オスカルの

ミドルネームから名付けた…とともにパリから脱出していました。知人のスタール

夫人の縁故を頼ってスウェーデンを目指しますが、最初の避難場所であるスイスに

向かうまでにベルナールとアランの死の知らせを受け、ナポレオンの追求を恐れた

馬車の御者に逃げられます。またスイスのスタール家の別荘に辿り着いても賞金

目当てに密告され、次々押し寄せる絶望に涙し、その気丈な心もうち萎れてしまい

ました。しかし15歳の一人息子フランソワに支えられ励まされ、また何度も自分

たちを救ってくれた謎の協力者が二人の安全を保証し、スウェーデンに送り届けて

くれました。彼はまさか…いや、まさか…一体何者だったのでしょう?

 

やっとの思いで辿り着いたスウェーデンの首都ストックホルムでは、フェルゼン伯の

妹のソフィアが出迎えてくれました。ロザリー母子の住む場所とフランソワの仕事を

用意してくれましたが、フェルゼン伯本人と会うことはできませんでした。アントワ

ネットを逃がす計画に失敗した結果民衆によって処刑させてしまって以来、彼は

もう、昔の朗らかで心優しい騎士ではなくなっているのだそうです。

 

フランソワがフェルゼン伯の推薦で王立図書館に勤め始めてしばらくすると、彼の

働きぶりと聡明さを認めた若者が現れました。ファビアン・ノーベルはフランソワの

父ベルナールを、母ロザリーのことも知っているようでした。ファビアンと親しく

会話し、彼の貧しく弱くも大切な祖国であるスウェーデンへの思いを知るにつれ、

フランソワは強い意志と勇気を持って時代を生き抜いてきた両親を強く尊敬し、

二人の子である己を誇りに思うのでした。

 

王が国の舵取りに失敗し、政情の不安定な北国スウェーデン。民衆の憎悪は貴族を

優遇する政策ばかり行う有力政治家・フェルゼン大元帥に集まっています。ストック

ホルムの殺伐とした様子にかつてのパリを重ね、ロザリーは不安な予感を抱きます。

 

ある日、実は共和派に属していたファビアンが危険を冒してまでフランソワに一つの

情報を知らせてくれました。フェルゼン大元帥を暗殺する動きがあるとのこと…決行

日は、かつてフランス国王ルイ16世一家が国外逃亡に失敗しヴァレンヌで捕らえ

られた、あの日と同じ6月20日…。

 

 

※※※

 

 

ベルばらの物語の延長線にあたる「栄光のナポレオン エロイカ」を未読の人はあら

すじがつかみにくいかもしれません。私のように。ベルナールとロザリーがそんなに

想い合った夫婦になっていたことも実感に乏しいくらいですので…。アランもこんな

いいヤツでしたっけ。エピソード編のアランは「歩く通行手形」のようでしたわ。

コネというか人の縁って大切ですね。ロザリー母子が頼りにしていた、本人は登場

しないスタール夫人はベルばら本編でも名前だけは登場してましたっけ。

 

愛する人を失った絶望と憎悪を捨てられなかったフェルゼンが運命の日を受け入れた

後、スウェーデン王国を受け継ぐことになったのはフランスの平民出身の軍人、ナポ

レオン配下の将軍ベルナドット将軍…私は元々フェルゼンとアントワネットの愛に

あまり関心が無いので(ブレゲの時計を繋げたのは良かったと思います)、中野京子

さんの著作から少しだけ知っていた彼の数奇な運命の方が気になってます。いくら

スウェーデン王家が窮地に立っていたとはいえ外国人を、しかも王侯貴族の血を全然

引いていない(ナポレオンは一応貴族出身)、人物を王に戴くとは…しかも予想以上に

うまくいっちゃったとは! 現在まで彼の血を継ぐ王家が続いているとは! 王に

なるのに必ずしも高貴な血は必要無いという点、まさに絶対王政、王権神授の時代の

終わりに相応しい国王だったのでしょうね。wikiの彼の記事を読むだけでも膨大な

情報量に驚きました。人ひとりの人生を追うだけでも大変なのに、たくさんの人の

行動がからみ合う歴史となると…一つ一つを咀嚼して一本の物語としてまとめあげる

作業の困難を思います。

  

 

↓↓ 以下、ネタバレ注意 ↓↓

 

 

ロザリーとフランソワの逃避行を手助けしたのはエピソード編一の出世株・ジェロー

デル…。革命後亡命したスウェーデンからパリに戻って行方不明になったはずの彼が

どうして今になって姿を現わし、(オスカルと縁が深いとはいえ)かつてあいさつを

交わした程度であろうロザリーのために自ら手を貸してくれたのか、理由は分からず

終いでしたが(ヒマだったのかも)、突然にファンタジー要素を盛り込まれて困惑しま

した…。なんでも、ある著名な少女マンガから(許可をいただいた上で)拝借した設定

だそうです。その作品も近年数十年越しの続編が執筆されたもよう。やっぱり少女

マンガに疎すぎて時々困る…。そんな訳ありジェローデルですが、ロザリーに「若

すぎる」と指摘されるのだけは心外だったでしょう。ロザリーだってもう40歳には

なってるはず… … …いや、そこは別にいいけどさ、ロザリーだから。

 

残されたソフィア様が気の毒でなりませんでした。生き延びて歴史を見届けるという

ことは、見送り続けることでもあります。

 

 

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