碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

士貴智志「進撃の巨人 Before the fall」 13巻

少し前、BS放送にてあのシュトロハイムさんが戦死するほど悲惨なスターリン

ラード攻防戦に参加したソビエト共産党の幹部フルシチョフ氏と、訪米時にディズ

ニーランドを見せてくれなかったとブチキレるフルシチョフ氏を連続するように

見かけました。世界大戦も粛正の嵐も生き延びた後に国家のトップになった彼は

その先に起きた出来事を見ることができたわけですね。生き延びた人間は死んで

いった人たちの分まで変わりゆく世界を見届ける役目があると言えましょう。

 

…ただし、生きた先にいいことばかり待っているわけではありません…英雄にも

立派な人物にもなれず、ただ世界を眺めることしかできないわたくしとはいえ、

まさか約20年越しに再アニメ化した封神演義が……この話題はいい加減しつこい

ので以後控えますが、今回は先人たちに遺志を託され、未来を信じる彼らが生き

抜いた先に待つものは…? という「進撃の巨人」スピンオフ13巻です。

 

(書いてる途中に大杉漣氏の訃報が入り動揺中…)

 

進撃の巨人 Before the fall(13) (シリウスKC)

進撃の巨人 Before the fall(13) (シリウスKC)

 

 

進撃の巨人 Before the fall 13巻

原作:諌山創  小説版原作:涼風 涼  漫画:士貴智志 

小説版キャラクターデザイン:THORES 柴本

発行:講談社  シリウスKC  月刊少年シリウス連載中

 

 

 ↓前巻の感想はこちら

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

工場都市から駆けつけたシャルルとアンヘルから改良版の「装置」を受け取り、

早速テストしてみるキュクロ。最初は戸惑いましたが持ち前の身体能力ですぐに

操作を覚え、空中を自在に飛び回れるようになりました。彼の視界には倒すべき

巨人の姿が見えていました。空中へ高く飛び上がり、巨人の弱点であるうなじ目が

けて、ゼノフォン師匠の最高傑作で有るブレードを振り下ろし…! 縦軸、横軸の

概念を超えて空間を立体的に移動することのできる、名付けて「立体起動装置」。

キュクロの勇姿を見守るシャルルたち。人類が巨人に勝利する瞬間が近づいた…

長年の苦労が報われようとしている。ホルヘ教官は涙を流します。

 

「立体起動装置」が完成したのは喜ばしいことですが、今特殊訓練を受けている

新兵全員に行き渡るよう量産できなければ意味がありません。その問題は…臨時の

工場都市担当憲兵団隊長グロリアが解決してくれる、とのこと。彼女は以前工場

都市にて起こった反体制派の反乱の際、キュクロが「装置」を使ってシャルルの

危機を救った場面を目撃しました。それ以来、「装置」に強い関心を持っていたの

です。ただし…現実的政治家の彼女は人類の未来のために全てを賭けるほどお人

好しではありませんし、彼女の伯父も含むもっと偉い人たちはそもそも調査兵団

存在に対する理解がありませんでした。そのためにグロリアなりに精一杯上層部と

掛け合って引き出した条件が、今から2ヶ月後、調査兵団が立体起動装置を用いて

実際に巨人を倒して見せること…しかも超人的身体能力の持ち主であるキュクロが

巨人を倒しちゃ意味が無いのでダメだそうです。つまり、立体起動装置を扱う

訓練を終えたばかりの新兵に巨人を倒せと…でなければ調査兵団は解散!! だと。

 

あまりの無茶ぶり。一同の心に怒りと動揺が走りますが、他に選択肢はありません

でした。与えられた条件の中で最善の策を提案するカルディナ。その案に沿って

改めて選抜された、立体起動装置の訓練を受ける新兵の中にはローザたちの姿が。

そして調査兵団が条件通りのやり方で巨人を倒すかを見届ける監視役として、シャ

ルルの兄・シャビィが乗り込んできてー

 

※※※

 

 

この物語は「進撃の巨人」の過去の出来事、つまり結果が確定しているとはいえ、

メインキャラクター陣の役割が完璧なほどにはっきりしています。一つの目的に

向けて結束し、お互い認め合って自分にできる全力を尽くしてほとんど私心があり

ません。あまりにできすぎた連中で白々しいと思う反面、それだけ彼らの希望が、

前向きなエネルギーが溢れているのだと考えることもできます。

 

アンヘルさんなんて、グロリアさんを半分警戒しながらも「初めて関係者以外に

真剣に「装置」の話を聞いてもらえた」なんて言っちゃいますからね。いいヤツら

すぎます。(悪の組織に所属する研究者もこんな気持ちなのかしら?) …そのグロ

リアさんの役割も判明しました。さらにコミック版のシャビィの立場と小説版の

展開がどう結びつくのだろうと不思議に思っていたらうまく折り合いを付けられ

ました。かつて戦った者、今戦う者たち、そしてこれから戦う力を得る者たち…

それらを支える者たち。全て計算され尽くしています。うまくできすぎだけど。

 

エレンたちが訓練兵時代にテストを受けた、あの上からワイヤーで釣り下げられる

機械を簡単にクリアするなど相変わらず全く可愛げの無いハイスペックお兄ちゃん

シャビィとシャルルちゃんが再会し、二人でお話する機会がありました。今度は

イノセンシオ家の一員として商会を守る義務がある…というまっとうな主張でシャ

ルルちゃんを諭すお兄ちゃんですが、己の意志、己の行動で大切な人の力になれる

ことを知った今のシャルルちゃんを従わせることはもう無理でしょう。もっと早く

その視点で話していればここまで反発されずに済んだでしょうに…。今となっては

ただキュクロのためだけじゃなく、「立体起動装置」開発の当事者としての責任も

生まれていますしねぇ…。

 

グロリアの命令とはいえ、なぜイノセンシオ商会を背負うシャビィ調査兵団

遠征に立ち会うのか…思わせぶりのまま次巻待ちになりましたが、多分、彼が今度

こそ「本物の」巨人に勝つためかな~と思います。

 

ローザたちのことも書きたかったけど、書き切れないや…!

 

スターリングラード [Blu-ray]

スターリングラード [Blu-ray]