碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

映画「沈黙 - サイレンス -」

「大奥」15巻レビュー記事のアクセス数がどんどん伸びてます。ありがたくも

嬉しいことですが、いかんせん記事の中身がスカスカなので少し申し訳なくなり

ます…。

 

BSで放送した映画「ラストサムライ」を観ました。数年ぶりです。西洋人から見た

明治日本の姿が美しく悲しく描かれていました。…まぁトム・クルーズ渡辺謙

真田広之がかっこいいから他の細かいことはどうでもいい映画だったんですがね?

今回は劇場公開時に気になっていた、西洋人…ポルトガル人宣教師が見た日本を

描いた映画です。原作は遠藤周作の小説ですが例によって未読です。いくら同じ

江戸時代が舞台だったって磯兵衛の次の記事がこれってどうよ?と思いましたが…

あぁ、そういえば磯兵衛に天草四郎出てたなぁ…。かなり難しいお話だし長いし

日本語吹き替え無いけど目にした作品を記事にしていくスタイルなのでキャパオー

バーぎみになりながらがんばって書きたいと思います。

 


映画『沈黙-サイレンス-』予告

 

沈黙 - サイレンス -

2016年公開  上映時間 : 159分

製作国 : アメリカ合衆国  配給 : パラマウント映画・KADOKAWA

原作:遠藤周作『沈黙』

監督 : マーティン・スコセッシ  音楽 : キム・アレン・クルーゲ

出演:アンドリュー・ガーフィールド  リーアム・ニーソン

アダム・ドライヴァー  窪塚洋介  浅野忠信  イッセー尾形

 

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

聖フランシスコ・ザビエルが”ジパング”と呼ばれた極東の島国に神の教えをもたら

してから100年が経とうとしていました。宣教師たちによって広められた信仰は

繰り返される弾圧に揺らぎ、多くの信徒、宣教師たちが殉教者となりました。

 

マカオイエズス会支部に、日本で布教活動をしていたフェレイラ神父が数年前に

書いた手紙と、彼が棄教したとの知らせがもたらされます。かつてフェレイラに

学んだ若き宣教師二人は敬愛する師の変節を信じられず、事の真偽を確かめる

ため、そして彼の地で尽きようとしている信仰を守るために日本に向かうことを

決意しました。ロドリゴ神父、ガルペ神父がポルトガル人に保護された漂流者キチ

ジローを案内人にマカオを出港したのは1640年のこと…。

 

海を越え、今なお多くの隠れキリシタンが住む九州のトモギ村にたどり着いた3人

でしたが、キチジローはすぐに姿を消しました。宣教師2人はキリシタンの村人に

保護され、長崎奉行に見つからぬよう昼は炭焼き小屋に隠れ、夜に聖職者として

信徒へ与えるべき使命を果たします。潜伏生活の苦しさ、村人たちにうまく伝わら

ない神の言葉、フェレイラ神父の行方を探すことのできないいらだち…日々焦燥が

募るばかりですが、やっと来てくれた宣教師にすがる人々を放っておけず、やがて

五島列島の村にも乞われて足を運びます。

 

しかしトモギ村に奉行所の手入れが入り、隠れキリシタンとして村長や信仰心の

強い村人モキチらが連行されました。彼らはロドリゴたちをかばい、惨いやり方で

処刑されてしまいます…。ロドリゴはガルペと別々に逃れることになりました。

迷わず、諦めず、生き延びることを誓い合った二人…しかしキチジローの裏切りに

より、ロドリゴ奉行所に捕らえられてしまいます。

 

長崎奉行井上筑後守は終わらないキリシタン狩りに倦み、ただ隠れキリシタン

宣教師を見つけて拷問して殺すのではキリが無いと、他の道を探していました。

彼らはロドリゴを説得し、あるいは他のキリシタンたちの命を盾に脅し、「転ぶ」

…すなわち棄教を迫ります。

 

貧しさと弾圧に苦しみ続ける信徒たちと、彼らを見て苦しむ自分を見ても神は何も

してくれない、ただただ沈黙ばかり…ロドリゴの心は迷いと疑いに乱れ、苦悩し

続けます。

 

ロドリゴの選択は日本からの逃亡か、殉教か、それとも…棄教か。そしてガルペ

神父の運命は、フェレイラ神父の行方は…

 

※※※

 

実際”踏み絵”ってキリスト教的にどうなの? 踏んだら天国へ行けなくなるの?

本場のキリスト教徒もやっぱり踏めないのかしら…?

 

島原の乱の後も九州にはまだ宣教師や多くのキリシタンが残っていたんですね。

フェレイラ神父は実在の人物だそうです。ロドリゴ神父にもモデルがいるとか…。

 

二度と故国に戻れないと知りながら何年もかけて遠い遠い異国にやって来た宣教師

たちの信仰心と覚悟、勇気に敬意を持ちたいと思ってます。しかし この映画では

あまり触れられていませんが、宣教師側(およびバックにいるキリスト教国)にも

いろいろ問題があってね…まぁ、かつてキリシタンになり布教を許した大名たち

にも外国と交易したいという下心が無かったワケじゃ無いしね…。一応、宣教師に

対し日本語を覚えようとせず日本人を理解しようとしなかったと糾弾するシーンは

あります。

 

 イノウエサマや通訳の人など、奉行所のみなさんもやりたくて弾圧をやってるわけ

じゃない、お前ら宣教師が懲りずに日本に来るせいだ…という態度を出しまくって

ます。老獪な長崎奉行のイノウエサマはイッセー尾形氏…またあなたか…。 

 

ロドリゴにとってさらに悩ましきはキチジロー(窪塚洋介)の存在。何度も裏切り、

逃げてはまた現れて許しを願う、醜く弱く図々しい男…こんなどうしようもない

ヤツでも、むしろこういうヤツこそ救わなくちゃならないんだから困ったもので。

 

窪塚洋介浅野忠信など日本人豪華キャストに加え、外国の俳優さんもなかなか

いいメンバーが揃っているようです。私は全然気づけなかったけど例えばガルペ

神父は最近の「スター・ウォーズ」シリーズの悪役カイロ・レンの人ですって!

 

 

 

↓↓↓ 以下、ネタバレが含まれます ↓↓↓

 

 

 

フェレイラ神父に信仰を断念せしめた真の理由は幕府の弾圧ではなく、日本人に

本当の意味でキリスト教を、見えない神が常に自分たちと共に在ることを理解

させることは不可能だと悟ったことでした。宣教師の説く教えに感銘しキリスト

教徒になったはずなのに、いつのまにか本来伝えたかった信仰とは異なる別の形に

変化している。しかも悪意無しに…。言葉の壁では片付けられない、日本という

特異な土壌の問題でした。

 

つまりクリスマスやバレンタインデーやハロウィーンが日本にやってきたらなん

だかよく分からない行事になっちゃうあの現象かな…?

 

…なんて真面目な映画らしからぬ例えをしちゃっても、ロドリゴ神父やフェレイラ

神父らに突きつけられた選択は相当に苦しく残酷なものであることに変わりありま

せん。ただ教会の教えを忠実に守り、その果てが殉教なら、身体は苦しんでも心は

楽でしょう。しかし自分以外の人間の運命を含めた選択を、己自身の頭で考え決め

なければならないとしたら、彼らにとって一番難しいことかもしれません…。

ロドリゴがようやく聞いた”声”は、彼とともに苦しみ続けた内なる神のものだった

のか、それとも… … … 真の信仰心とは無縁の人間だから、ついひねくれた

見方をしてしまいますよ。