碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

よしながふみ「大奥」 15巻

新年第一回の更新です。よしながふみのSF大河ロマン・男女逆転「大奥」、

待ちに待った最新刊です!!!!

 

大奥 15 (ヤングアニマルコミックス)
 

大奥  15巻

著者: よしながふみ  発行: 白泉社 ヤングアニマルミックス

白泉社 月刊「MELODY」連載中

 

 

 ↓前巻の記事はこちら

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

 

徳川十三代将軍・家定は懐妊しました。御台所・胤篤に想いを告げ、難題の降り

積もる幕政にも積極的に取り組み、幸福で強い将軍になろうとしていました。

しかし、妊娠中のしきたりによりしばらく会えない日々の続いていた胤篤の元に、

家定が産み月を迎えること無くおなかの子と一緒に亡くなったとの知らせが…。

亡くなったことを何日も知らず、死因も分からず、臨終に立ち会うことすらでき

なかったと悲嘆と怒りに暮れる胤篤。しかも大老井伊直弼幕臣の思惑により、

「御台所を新将軍の後見として幕政に参加させよ」という家定の遺言すら隠匿され

てしまいました。暗殺まで疑う胤篤がそれでも大奥に留まったのは、井伊直弼らに

推され十四代将軍になった紀州の福子姫…年若い家茂を守るためでした。胤篤が

家定の正室になったのは養父・島津斉彬より次期将軍を一橋慶喜に推すよう家定を

説得するよう命じられたためでしたが、養父の意図と真逆の行動を取ったのです。

自分が次の将軍になるものと思っていた一橋慶喜は呆然とするばかり…。

 

押し寄せる外国勢を追い払いたい、幕府に批判的な人々は京の朝廷に心を寄せて

いきました。孝明天皇は大の外国嫌い、幕府とアメリカが通商条約を結ぶのには

反対でした。攘夷をやらない幕府に業を煮やし、徐々に水戸などの諸藩を頼りに

していきます。

 

大老井伊直弼は、幕府の体制維持のためには外国と通商を始めて国力を強化する

ことでしか外国からこの国を守る方法は無いと考えていました。そのために強硬に

不安要素を排除し続けます。特に攘夷派の先鋒として武士ばかりか朝廷の期待も

集めていた水戸の徳川斉昭とその息子・一橋慶喜の失脚を目論見ました。改革を

急ぐあまり自分の思ったように政を動かそうとし、将軍、まして女将軍は幕府の

担ぐ神輿であれば良いと考えているようでした。家茂に対しても政に口を出させ

ない、心を開こうとしませんでした。彼は孤立し、恨まれ、その果てに…。

 

大老井伊直弼が暗殺され、ますます失墜した幕府の威信を取り戻すには朝廷との

公武合体”政策を進めるしかない…天皇に対して”攘夷を実行する”と空約束をして

までも。幕府がここまで窮地に追い込まれていることに愕然とする家茂。長い長い

交渉の果てにようやく孝明天皇の異母弟・和宮が江戸へ降嫁することになったの

ですが、華やかな婚礼行列を引き連れた輿の中から現れたのは…。

 

(状況が複雑すぎるためうまくまとめられず、相当に省略しております。元々幕末~

明治史はこんがらがってる上に陰惨で苦手感が強くて…)

 

※※※

 

江戸城大奥では、愛情を持つことは幸せに繋がらないのかもしれません。配偶者や

親族の生死すら知ることができないとは…。一方で世の中の人々はみな、黒船襲来

以来妙な熱気に包まれ、押し寄せる波に身を任せて過激な行動を取っていきます。

そろそろ外国から写真技術が持ち込まれる時期なので、もうこれ以上の男女逆転

現象は無理でしょうか。もう一人か二人、幕臣に現れませんかね。松平容保…いや

さすがに無いか。悲壮感は増すけれど…。

 

胤篤に”お万好み”の流水紋の入った裃を仕立てたお針子・池谷は十三巻で同輩から

いじめられているのに気付いた大奥総取締・瀧山が呉服の間に配置換えした若者

でした。それと薩摩の間者・津村も十三巻にはすでに大奥の一員として出ていま

したね…単行本発行周期が長いとはいえ、完全に忘れていました。津村は藩主・

島津斉彬を敬愛し、その命により胤篤の補佐のため大奥にいるというのに肝心の

胤篤が女将軍家定に心を向ける有様を苦々しく思っていました。そんな彼も斉彬の

早すぎる死に涙し、身の処し方を決めることになります。今後どう動くか興味深い

ところです。斉彬はまだたくさん登場すると思ってたのに残念ですね。どんどん

表情のゆがんでいった井伊直弼もあっさり討たれたなぁ…。そしてお志賀再登場!

 

前回の記事にて、これまで散々くせ者揃いの徳川将軍とその周囲の人々を見てきた

から家定と胤篤が”普通に”愛を育んでいる姿が逆に新鮮…と書きましたが、今回は

これまで散々くせ者揃いの徳川将軍とその周囲の人々を見てきたから、家茂と名を

変えた福子姫がまだ十代半ばの若さというのに聡明で誠実で容姿端麗で情け深い

御気性…と全く非の打ち所のない人柄であることに逆に物足りなさを感じてしまい

ましてですね…紀州で大切に育てられたんでしょうね。(向こうでもお飾り扱いな

雰囲気を感じたけれど)

 

でも今になってこのまっすぐな少女が将軍になったことがかえって痛々しいのかも

しれません。だから胤篤も家茂を支えてやりたいと思ったことでしょう。しかも、

幕府と皇室の融和を願って迎えた正室・和宮は… … … ”彼女”が家茂を傷つけ

ないことを願うばかりです…。和宮は足が悪かった、あるいは手が悪かった、さら

には替え玉である…という説については読んだことは無いのですがかなりハードな

内容と聞き及んでいる”和宮様御留”という小説で知られているそうです。多分幕府

以上に隠蔽体質(”ケガレ”を遠ざけたがり)な存在ですものね、朝廷は…。

 

 

気になる続きは秋に発売予定とのこと。

 

 ↓家光編のドラマCD付き特装版。昔からドラマCDが苦手なので非購入。