碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

諫山創「進撃の巨人」 23巻

一つの視点から見るだけでは世界は理解できません。別の視点から見た世界は全く

違う光景が広がっています。しかしあらゆる視点で見てみたってやっぱり世界は

理解できっこないわけで。むしろますます分らなくなる…。そんな23巻目です。 

 

進撃の巨人(23) (講談社コミックス)

進撃の巨人(23) (講談社コミックス)

 

進撃の巨人 23巻

著者:諌山創   発行:講談社マガジンKC

別冊少年マガジン連載中

 

 

 ↓前巻の記事はこちら

blueflag01.hateblo.jp

 

ざっくりとしたあらすじと感想

エレンが「巨人に追われ壁の中にわずかに生き残った人類」としてではなく「壁の

中に閉じこもった全世界から憎まれる悪魔の末裔」として海を見てから数年が経ち

ました。パラディ島の外ではエレンたちと同じく巨人化能力を持つエルディア人を

抱える大国マーレと中東連合との戦争がようやく決着の時を迎えていました。

最前線に投入されたエルディア人戦士隊の中には、かつてパラディ島に潜入した

ライナーの成長した姿も…。彼の「鎧の巨人」を含む「九つの巨人」継承者たちの

活躍によりマーレはこの戦争に勝利します。しかし巨人を兵器として活用し有利を

保っていたはずのマーレは、巨人の力に頼むあまり周辺諸国の科学技術の発展に

著しく遅れを取ってしまったことにようやく気付きました。

 

圧倒的だったはずの巨人の力が人間の技術に負ける日が来るのです…。マーレは

その日を来させないための時間を稼がなければなりませんでした。エルディア人の

戦士長ジークは今こそパラディ島の「始祖の巨人」を奪還するべきと主張します。

彼に残された時間はわずか1年。すでに彼の「獣の巨人」の継承者候補は決まって

いました。ライナーの任期も残り3年。選別が始まっています。まだあどけなさの

残る少年少女がマーレへの忠誠のため、エルディア人を「壁の中の悪魔の呪縛から

解放するために」厳しい訓練を受け、戦場で戦い、「九つの巨人」の継承を目指し

ました。ライナーの後継者は彼を慕う親戚の少女・ガビに決まりそうですが、同じ

候補生である心の優しい少年・ファルコは自分がその資格を得ることを諦めていま

せんでした。エルディア人の未来のために、そしてガビのために…

 

※※※

 

23巻はますます精悍な顔つきの青年になったライナーの視点で物語が進みます。

壁の中の人類にとっては外から来た死神であった彼も故国に帰れば一人の人間で

あり、共に戦う仲間や守るべき後輩たち、待っている家族がいる身でした。

あの恐ろしく冷酷に壁の中の人々を殺戮した「獣の巨人」ジークも、同胞たちと

親しく言葉を交わし、故郷で出迎えた祖父母(グリシャの両親=エレンの祖父母)に

優しいまなざしを向ける一人の若者なのでした…。ウォール・マリア奪還戦で

「獣の巨人」をうまくアシストしていた四つん這いの「車力の巨人」の正体が若い

女性とは、驚きでした。ユミルがライナーの仲間マルセルを喰って得た巨人の力が

再びマーレの手中に返り、それを継承した若者がいるのでユミルの死は確定して

しまいました…「顎の巨人」と呼ばれていましたが、ユミルの時と姿が違います。

「九つの巨人」でも容姿に個人差があると再確認しました。

 

しかし、マーレ側による徹底的な思想教育のたまものとはいえ、エルディア人の

みなさんは本当に功績を上げれば「名誉マーレ人」とやらになれると信じているの

でしょうか。壁の中の悪魔は悪魔としても、今現在進行形で目の前に存在し巨人の

力を見せつけ人を殺しているというのに、自分たちが良きエルディア人だと世界に

認められたいなんて願ったところで誰が聞いてくれるのでしょうか? ライナーの

母のように愛する子や兄弟を戦士にすれば、名誉と誇りを引き替えに捧げた若者の

命はわずか13年に短縮されます。それとも収容区にいる一般のエルディア人には

知らされていないのでしょうか?

 

本当に何が正しいのでしょうね。巨人の力を持つエルディア人を忌み嫌いながら

戦力として頼り切ってきたマーレ人も。 同胞を見捨てて自分たちだけ逃げた「壁の

中の悪魔」の正体も。マーレ人の父とエルディア人の母の禁じられた混血児として

生まれ、「名誉マーレ人」になって自分と母の居場所を確保しようともがいていた

ライナーが、行く場所行く場所で立ち位置を見失い傷つき混乱し、精神の均衡を

崩したのも納得できます…。しかも戦場にも立って何年も戦い続けていたわけで。

いくら「鎧の巨人」ったって、身体は修復されるったって、傷つけば痛いだろうに

ね…。人類の敵だったはずの彼に一気に感情移入してしまう流れです。彼が戦士に

なろうと必死にがんばっている間、壁の中のエレンはぼんやり空を眺めていたと

くるんですから…! 作者さん、いい意味でイジワルです…!

 

敵といえば、どうもジークが心からマーレの思想教育に従って行動していると信じ

切れないんですよね。父・グリシャの意図とは違ったものだとしも、彼なりにエル

ディア人の未来ための考えがあるような気がしてなりません…。

 

一方まだ幼くマーレの思想教育を鵜呑みにしてるガビ。女の子の名前としては濁音

強いしモブっぽい響きで引っかかりますが、「ガブリエル」の愛称なのかなぁ?

 

 

いろいろ気になるポイントを見出しつつ、次巻を心待ちにしています。

 

 

恒例のウソ予告、「進撃のスクールカースト」編に懐かしいリヴァイ班の面々が

登場!! わ~い!! このシリーズまだ続くのかしら??? 期待!!