碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

岩本ナオ「金の国 水の国」

以前よりこのブログの色気というか潤いの少なさを補いたいと思いつつ相変わらず

怪獣だの戦争だの忍者だのアンダーグラウンド社会だのといった殺伐っぷりだから

もうこのブログの潤い=ネコってことでいいじゃんと開き直ってもいいけれど、

たまには心の洗われる美しいマンガが読みたいと思って「このマンガがスゴい!

2017年オンナ編」第一位になった(オトコ編一位は”トネガワ”)少女マンガを選び

ました。1巻で完結してるところと深い理由無き講談社偏重が補えて良かったわ。

 

 

金の国 水の国

著者 : 岩本ナオ   発行 : 小学館フラワーコミックススペシャ

 

 

「flowers」にて2014年から2016年まで連載されていました。

最近「少女革命ウテナ」の読み切りが掲載された雑誌ですよね。あなどれない…。

 

ざっくりとしたあらすじと感想

ー昔々 隣り合う中の悪い国がありました

毎日毎日お前んちの草がこっちに入っただ

お前んとこの布団をたたく音がうるさいだの

つまらないことでいがみ合い

とうとう犬のうんこの片付けの件で戦争になってしまい

慌てて仲裁に入った神様は2つの国の長に言いました

A国は国で一番美しい娘をB国に嫁にやり

B国は国で一番賢い若者をA国に婿にやりなさい 

 

…と言われたものの、やっぱりどちらの国の頭領も根性が悪くて相手のことを嫌い

すぎていました。

 

交易で栄えているけれど水の乏しい砂漠の国A国の王様はB国から送られてきた

「婿」を国境近くに住む妾腹の末娘に押しつけましたが、その第93王女サーラは

敵国からきた輿の中身が子犬であると知り、困りつつも少し安心していました。

 

再び両国の争いを起こさぬため、このことを黙っていようと決めたサーラ。しかし

姉姫たちに「B国の婿」に対面させろと言われてますます困り果て、悩みながら

迷い込んだB国の森で出会った調子の良い青年ナランバヤルに婿の替え玉になって

欲しいと頼んでしまいます。

 

実は貧しいけれど自然豊かなB国の族長はA国からの「嫁」を国境近くの町に住む

学者の息子ナランバヤルに押しつけていたのですが、こちらにやってきた花嫁は

子ネコでした…。サーラの人柄に好意を持ったナランバヤルは子ネコを送りつけ

られたことを伏せつつ「A国に婿入りしたB国一賢い男」として共に第一王女レオ

ポルディーネたちと対面し、対話をうまく運んで合格点をもらいます。それで万事

めでたしかと思いきや、失業した建築技師のナランバヤルは第一王女の愛人にして

イケメン俳優の左大臣ムーンライトにB国から水路を引く計画をもちかけます。

急速に発展しすぎてオアシスの水の枯渇しかけたA国の未来のために。そしてB国

にも富が行き渡るように。水路の実現にはA国とB国が真の友好関係を築くことが

大前提でしたが、A国国王と側近の右大臣は弱ったB国に再び戦争をしかけようと

目論んでおり…

 

 

※※※ 

 

決して「国一番の美女」ではないけれど優しくおっとりポッチャリした少女と、

お調子者でも優しく賢い若者と、クセはあるけどどこか優しい人たちの織りなす

美しい恋物語です。過激な描写は無いしハッピーエンドが約束されていて安心して

読めます。完全にほのぼのしてるかと思いきや国王と第一王女+互いの側近たちに

よる権力闘争も加わりますが、それぞれが自分なりに国を愛し、国と民の未来の

ことを考えて今を動きだそうとしていました。背景も丁寧に描き込まれていて(少女

漫画慣れしていないためちょっと分かり辛いコマ割がありつつ)非常に密度の高い

作品になっております。

 

またしても口がうまいやつは世渡りがうまいなぁ…と感じさせられたお話ですが、

相手の心を動かす言葉を生むにはまず相手に興味を持たなければならない、という

大きな教訓を得ました。見落としがちなささいなことから相手の心を汲み取って

初めて人の心に響く言葉を紡げるのだと納得。そしてどんな目的も、そうしたい

理由があってこそがんばれること、何よりも、誠実であること…。

 

長い話ではないとはいえ、「A国(=金の国)」「B国(=水の国)」って適当なネー

ミングはどうにかならんかったのかしら。ネーミングの大切さは作中にも表されて

いたのにねぇ? せめて東の国・西の国とか…。歴代国王の名前やA国の雰囲気は

イスラム風なのに第一王女の名前は「レオポルディーネ」だったり、国境近くの

サーラの邸宅(裕福)から王都までを馬車で1日で往復できるって近すぎね? とか

神様は両国を仲裁した後一切登場しないとか、細かくツッこむとキリがない妙な

世界観ですが、それでもやっぱり引き込まれました。サーラとナランバヤルが

何度もぎゅーってハグしあう姿がステキでした。身長差いいですねぇ。

 

 

たまには少女マンガもいいけれど、時々一周回ってハーレクインとか読みたく

なります…。

 

サンズ・アライブ ~天使の砂~ サンドキャッスル

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