碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

ヤマザキマリ「プリニウス」 5巻

連続して古代ローマものです。(昨日・今日とBSで「ベン・ハー」を放送してました)

テルマエ・ロマエ」で人気を博したヤマザキマリ氏がとり・みき氏とともに挑戦

する、古代ローマ博物学プリニウスの伝奇譚!

 

プリニウス5 (バンチコミックス45プレミアム)

プリニウス5 (バンチコミックス45プレミアム)

 

プリニウス 5巻

 著者: ヤマザキマリ  とり・みき

発行: 新潮社  バンチコミックス45プレミアム

新潮45連載中

 

 

 

 …正直、このマンガもまたあらすじを書くのが難しい作品でして。天才にして変人で

火山好きなのに喘息持ちの博物学者兼元シチリア総督代行プリニウスが秘書と護衛と

猫とロバのおともを連れてイタリア近辺をうろつき出所のあやしい「うんちく」を

語りながら見聞を深める話にプラスして情緒不安定気味なローマ皇帝ネロをとりまく

陰謀が入る感じです。プリニウスが旅をして見たものが、人間・非人間の生物・生きて

すらいない幽霊など、つまりうさんくさいものを含めてありとあらゆるローマ世界が

淡々と描かれていきます。明確な盛り上がり展開を期待する読者には向いていない

マンガであります…。

 

さて、今までで一番うさんくさい表紙の5巻ですが、ポンペイの町を突如襲った地震

巻き込まれたプリニウス一行が、復興活動のメドがたったことだし…と遠国まで旅を

したうさんくさい男から聞いたアフリカの地を目指すことにしました。トラ○プ氏に

似た横暴でうさんくさいポンペイの権力者と渡り合った富豪の女性の紹介により乗り

込んだ船は船員の性質がうさんくさく、アフリカに着く前に一行を火山島に置いて

出港してしまいます。船旅途中で拾ったちびっ子は航海の知識が豊富な上にカラスと

仲良し、動物たちと心を通わせて危機を予測します。火を噴く山を目の前に大盛り

上がりするプリニウス…やっぱり咳き込んでますがな。

 

私の古代ローマの入り口が塩野七生(一発変換できた!!)の「ローマ人の物語」のシステム

重視、リーダー重視の上品な世界だったから、市井の民衆の泥臭さや迷信に満ちた

うさんくさい世界観が逆に新鮮です。「テルマエ・ロマエ」に続いてあのお守りが登場

しましたしね。

 

ポンペイ地震は後々振り返れば十数年後の噴火の予兆だったのですが、当時の人々

には分かるはずのないことですよね。その噴火によって後世にも伝わる一大著作物

「博物誌」を残したプリニウスが命を失うことになることも…(第一話参照)。詳細は

ローマ人の物語」にて甥のガイウスの書簡を元に記述されてました。 軍人の護衛

フェリクスさん(一行の中で一番普通の感覚の持ち主なおっちゃん)はその頃には引退

していたのか登場しませんでしたが、シチリア(マグナ=グラエキア)で拾った秘書

エウクレスの方はずっと仕えていたようですね。いつのまにかフェリクスに毒舌を

発揮するようになっていた若々しい態度のでかさはどこへやら、寡黙な雰囲気の中年に

なってました。でも服装は簡素のまま…。ローマで恋したブリタニア出身の娼婦とは

結局どうなったのかしら…? まだマイナー段階のキリスト教の影響を受けていた

らしいけれど、再登場するかなー?

 

母親アグリッピナを殺害し、妻オクタウィアを殺害し、愛人ポッパエアに振り回される

不安定な皇帝ネロ、ネロのくせに時々心に残ることを言う(知識人はなんでも書物で

補えると思っているが自分は自分のために何かを伝えようとする生の人間の声が欲しい

的発言など)の行く末も見守っていきたいものです。 

 

 

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