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碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

スーパープレミアム「獄門島」について少し語りたい

ドラマ

11月19日(土)20:00よりNHKBSプレミアムにて放送された「獄門島」を

視聴しました。金田一耕助役は長谷川博己氏です。横溝正史金田一耕助シリーズの

代表作ですし、何度も何度も映像化されてる作品ですからネタバレは気にしなくても

いいかな~と思いつつ軽めに感想を書いておきます。

 

獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

 

 

 

南太平洋からの復員船の中で息を引き取った戦友の遺志を託され、瀬戸内海の孤島

獄門島」を訪れた探偵・金田一耕助が、わけありの大網元・鬼頭家の3人の娘たちが

次々に奇怪な方法で殺されていく事件に挑む…という基本的な事件の流れは原作と

変わりません。ただ、旧作群のちょっと間の抜けた憎めない金田一のイメージが強い

自分にとって今回の金田一の病んだ雰囲気が受け付けられませんでした。人当たり

悪いし。たとえば、推理およばず次の犠牲者が出た後で鬼頭家に残ってる人間で唯一

まともな早苗さんに当たり散らしたりね…。

 

特に犯人との最終対決に用意された場所はとても美しい庭園なのに謎解きモードに

入った金田一のハイテンションっぷりに唖然とさせられました。これほど感情的に

犯人を追い詰める金田一なんて見たこと無い…!! 一方的にまくしたてる金田一を

眺めながら私はてっきりシキシマ隊長が降りてきたか!? それともまた麻薬に手を

出しちゃったのか!? と困っていたところをさらにどこぞのDIO様のような

「無駄無駄無駄無駄ぁ!!」で畳み掛けられ、そして相討ち(虚脱)。もはや言葉も無く…。

 

なんだこれ。

 

…ただし、補足しなければならないのは、金田一の情緒不安定っぷりの根源は彼が

味わってきたばかりの”戦争”にあったことです。たくさんの人が飢えて病んで殺し

殺され、理由を考える暇も無く死んでいった場所から戻ってきた彼は、”どうして人は

人を殺すのか”を知りたがっていました。彼には帰る場所が無いから、かりそめでも

生きる理由を欲し、友人の求めに応じて獄門島を訪れたのでした。そして平和になった

日本でわざわざ殺人を犯した犯人の口から出たその動機が、彼には全く納得できない

ものだったのです。激昂するのも無理はないのかも…。しかし早苗さんに一緒に島を

出ようと誘って断られたのも全く当然のことだとしか言えません。

 

「戦争の悲惨さ」を前面に出してるメッセージ性を重視した作品は近寄りにくくても、

こういう娯楽作品の中で日常に隣接した戦争の傷を描かれる方が心にぐっとくる人が

多いかもしれません。 そもそも戦争さえなければ、鬼頭家の人々は誰も死ななくて

済んだのになぁ…

 

金田一耕助”としては好きになれませんが、原作と全く同じ話を繰り返し作ったって

仕方ありませんしね。島の狂気と死臭が漂う閉鎖的な雰囲気がよく出ていまして、そ

れでいて映像は美しく、見応えのある作品でした。原作が書かれたのが何十年も昔の

ため、現在放送するには問題のある表現がところどころ存在するのですが、そのへんも

きちんと再現されてました。BS放送分もちゃんと受信料を払ってる甲斐があったって

もんです。(CMが無い為にトイレに行くタイミングに困りますが)

 

その上翌日の昼間に石坂浩二版の「獄門島」も放送するというサービスっぷりを含め

堪能いたしました。ラストに次回作への前振りがありましたけど、一作目でこれだけ

ハジケちゃうと次は難しいかな…? 再放送か映像ソフト化しないかな~。

 

獄門島[東宝DVD名作セレクション]

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