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碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

映画「マッドマックス 怒りのデス・ロード」

映画 洋画

前回の「北斗の拳 イチゴ味」はちょっとおかしな世紀末世界でしたが今度は正統派な

世紀末映画です。「北斗の拳」誕生のきっかけになった映画「マッドマックス」

シリーズの4作目にあたります。(旧シリーズ未視聴です)

 

 

マッドマックス 怒りのデス・ロード

 

(原題:Mad Max: Fury Road )

2015年公開  製作: オーストラリア・アメリカ合衆国

監督: ジョージ・ミラー  音楽: ジャンキーXL  上映時間: 120分

主演: トム・ハーディ  シャーリーズ・セロン  ニコラス・ホルト

 

(※ R15指定)

 

 

あらすじ

核戦争により大地が汚染され荒廃した世界。文明は崩壊し、無法者がはびこる世では、

一握りの強者が資源や富を独占し、弱い者はただ支配されるしかありませんでした。

 

そんな世界の数少ない水源地であるシタデル砦の支配者イモータン・ジョー

その配下の軍団、そしてみじめな境遇に置かれた砦の住人たちに見送られ、大量の

ガソリンや水、ミルクを積んだタンカートレーラー(ウォー・タンク)と護衛部隊が

出発しました。まっすぐ近隣の取引先に向かうはずが、女指揮官ヒュリオサはルート

変更を命じます。実は彼女はジョーが子孫を産ませるために囲っていた女たちを密かに

連れ出し、ウォー・タンクごとジョーの支配から逃走しようとしていたのです。

 

ヒュリオサの企てを知ったジョーは怒り狂い、すぐさま追っ手をさしむけます。

彼の抱える武装集団「ウォー・ボーイズ」はウォー・タンクに追いつきますが、攻撃中

大規模な砂嵐に遭遇して捕獲作戦に失敗、ちりぢりになります。嵐が去り、敵が消えた

つかの間にウォー・タンクを停車させ身体を洗う女たちの前に現れたのは、ウォー・

ボーイズに拘束されていた男、マックスでした。

 

ヒュリオサをねじふせウォー・タンクを奪おうとしたマックスですが、彼女しか操縦

できないこと、そしてジョーの軍勢が間近に迫っていることを知らされ、やむおえず

女たち全員を乗せて出発します。

 

かくしてイモータン・ジョーの軍団、そして近隣の悪党たちのほとんど敵に回した

壮絶な逃走劇が始まりました。はたして彼らは追っ手を振り切り、目指す”緑の地”へと

たどり着けるのでしょうか…?

 

※※※

 

冒頭から生身の輸血袋だの牛の代わりに人間の女性から母乳を搾り取る部屋だの人間を

人間扱いしないマッドな世紀末っぷりに打ちのめされて自分の精神耐久力が意外と低い

ことを自覚させられましたが、荒廃した世界にまばゆく輝く美女たち、改造車同士の

追って追われて絶え間なく続く激しい追撃戦、ハラハラドキドキしっぱなしの息も

つかせぬ2時間を味わいました。ただエキサイティングでスリリングなバイオレンス

アクション大作映画というだけではなく、”女性の尊厳”という強いメッセージ性も

併せ持った作品であるため各方面からの評価も上々なようです。

 

汚染されていない若く美しい女たちはこの世界では特別な存在です。悪者が全戦力を

投入してでも取り戻す価値がある宝物です。しかも、身体ばかりか心も汚染されて

おらず、人としてまっとうな願いを抱いて脱走するのです。奴隷同然に飼われる生活に

甘んじるでなく、復讐を誓うわけでもなく、男たちや我が子を利用して権力を握ろうと

奸計をめぐらせるのでもなく。ただ自由を。人間らしい生活を。産まれてくる子ども

たちを”悪魔の子”にしたくないと願うのです。狂気に満ちた世界ではその当たり前の

人間であることの困難さに幾度も打ちのめされますが、それでも決断をした彼女たちの

姿が目に焼き付きます。それぞれが役割を持ち、外見的に見分けがつきやすいように

配慮されてるのも非常にありがたいことです。

 

当初は旧シリーズでマックス役を演じていたメル・ギブソン氏が今回も主演する予定

だったそうですが、製作が全然進まなくてその話は無くなったそうです。俳優としての

偉大さはともかく私生活でDVの噂も聞く人だから、今回は別の人に決まって良かった

気がします…。

 

主要キャラクター(兼あらすじの続き)

・ 輸血袋マックス

主人公の元警官。かつて守れなかった者たちの亡霊に取り憑かれています。現実と

狂気の狭間で苦しみながらも強い生存本能に突き動かされ荒野を一人さまよっていた

ところを所謂モヒカンヒャッハー的な悪党たちに捕まりシタデル砦に売られます。

(用途はO型のハイオク血液) 固く心を閉ざしており、自由のため成り行きで同行する

ことになった女たちにも名乗りもせず冷たい態度をとっていましたが、徐々に人間性を

取り戻していきます。か弱くも希望を信じる女たちを守り戦い抜いた数日間は彼の心の

救済の旅でもあったことでしょう。正直女性陣が鮮烈すぎて全然目立ちませんが、

れっきとした主人公です…。

 

 ・ ヒュリオサ

イモータン・ジョーの軍団の大隊長の一人でしたがジョーの妻たちをつれて脱走する

隻腕・坊主頭の勇敢な女戦士。自分にしか操縦できないように改造したウォータンクを

駆り故郷である”緑の地”を目指して東へ向かいます。メインヒロインというか実質的な

主人公。マックスと”ラブ”とは違うような信頼関係を築いていきます。それと本編で

はっきり語られておりませんが、かつて彼女もジョーの”子産み女”にさせられたことが

あり、隻腕になったのはその時にジョーの不興を買ったせいだったようです。

 

・ スプレンディド

イモータン・ジョーの5人の妻=ワイブスの一人でありリーダー格。「見目麗しき」。

金髪で顔には焼き印の跡が残っています。ジョーのお気に入りで彼の子を妊娠して

おり、産み月が迫っている分子どもの未来を案じる気持ちが強かったことでしょう。

常に仲間たちを気遣い、時に自ら盾になる気丈な女性ですが、ジョーたちとの戦闘中

ウォー・タンクから転落し死亡。おなかの子ども(男の子)も助かりませんでした。

 

・ ケイパブル

「有能」。赤毛の長髪とゴーグルがトレードマークのワイブスの一人。スプレンティド

の右腕的な女性。心優しく、自分たちを捕まえに来たウォー・ボーイズの一人である

ニュークスの絶望した姿を哀れみ、なぐさめたことがきっかけで彼と惹かれ合います。

 

・ トースト

ワイブスの一人。「失意」。褐色の肌に短髪。ジョーを激しく憎み、何がなんでも

”緑の地”へ行こうと決意しています。戦う意志も強く、銃器の扱いに詳しく、仲間が

躊躇した銃の弾込め作業もためらいなくこなす頼もしい存在。

 

・ ダグ

「不器用」。ワイブスの一人。見渡す限り砂漠の中で色素が薄い彼女は独特の存在感を

放ちます。マックスに悪態をついたり祈ったり。彼女もジョーの子どもを身ごもって

おり、産まれてこないほうが我が子の幸せではないかと苦悩しますが、”鉄馬の女”の

一人である老女に世界が汚染される前の植物の種を託されます。

 

・ フラジール

「華奢」。 褐色の髪。ワイブスの中で一番若く砦の中の世界しか知らないため、

逃避行の過酷さとスプレンディドの死に打ちのめされ、少なくとも生命と衣食住は

保証される元の生活に戻りたい気持ちが強まりますが…

 

・ イモータン・ジョー

悪役。シタデル砦に神のごとく君臨する絶対的支配者です。白髪・白い肌に骸骨っぽい

マスクを装着。なんとなくプレデターに似てるヤバそうな巨漢ですが、彼の身体も

汚染から逃げ切れず病んでいます。5人の妻(子産み女)たちをヒュリオサに連れ去られ

たことで激怒し、総力を挙げて追撃します。孤児を集めて都合の良い思想教育を施した

使い捨てのウォー・ボーイズを組織し、妻たちを幽閉し貞操帯を身につけさせるなど

間違いなく冷酷な暴君ですが、若く健康な女たちから産まれてくるはずの健康な赤子は

彼にとって大きな希望だったのかもしれません。(すでに成長している彼の息子たちは

身体的・知能的に欠陥があります) でも意外と簡単にやられました。

 

・ ニュークス

イモータン・ジョーの武装戦闘部隊「ウォー・ボーイズ」の一員。仲間と共にジョー

神の如く崇め心酔しています。仲間と同じく頭髪を剃り上半身裸で白塗り姿。例に

漏れず汚染による病に蝕まれ死期が迫っており、ジョーの為に戦い華々しく死に英雄に

なることを望み、生身の”輸血袋”を車に縛り付けて最高にハイになりつつヒュリオサの

ウォー・タンクに迫りますが、作戦に失敗した上に死に損なった絶望に打ちひしがれて

いた所をワイブスの一人ケイパブルに優しく慰められたことで、思慕の対象を彼女に

変更。あっさり寝返ります。切り替え早すぎですが彼らの短くもプラトニックな愛は

辛い逃避行の貴重な癒やしシーンでした。人は出会う人によっていい方向にも悪い方向

にも生き方が変わる、一つの例かもしれません…。

 

・ 人食い男爵&武器将軍

シタデル砦の近隣に縄張りを持つ、イモータン・ジョーの同盟者。ジョーとともに

ヒュリオサのウォー・タンクを追います。前者は損得勘定にうるさい肥満男、後者は

重火器大好き野郎にして日本語吹き替えを世紀末の使者であられる千葉繁御大が担当

なさっています。

 

・ 鉄馬の女たち

 ヒュリオサの故郷の人々。”緑の地”の環境が悪化し住めなくなった後は数人の女性

(ほぼ老女)が砂漠でバイクを駆りかろうじて命脈を保っていました。ヒュリオサと

再会し”緑の地”の運命を告げた後、ともに”塩の湖”を目指して旅立とうとしますが

マックスの提案した”手薄になったシタデル砦にとって返して占拠し、水と緑のある

場所ですべてをやり直す”という案に賛同し、命がけの復路に加わることになります。

 

 

結果を言ってしまえば流浪のヒーローによって悪党が退治され小さな町に平和が戻る!

そしてヒーローは去って行く…という王道パターンを踏襲しております。しかし、

ひねくれた大人としてはこういう時アフターケアしなくても大丈夫なんだろうか? と

心配になる場合もあり…そうでなくてもあれだけ血を抜かれて闘い通してきたんだから

せめて2,3日療養すればいいのにと思ってしまいます。幸い、この作品には砦の

人々がその後もなんとか平和にやっていけてる感じの後日談があるそうですが…

 

 

評価:観れば観るほど見落としに気付くので時間に余裕があればもう一回くらい

観たかったな~って感じの三回視聴。