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碧色の旗を掲げ

節操無しのレビューブログ。映画、小説、マンガ、ドラマ、イベント、とにかくマイペースに誉めたり誉めなかったりいろいろ書きたい。

惣領冬実「マリー・アントワネット」

マンガ 講談社 歴史

 

…いや、私としては早く「チェーザレ 破壊の創造者」の続きを描いてくださいよと

言いたいのですが…休載の間に別口のお仕事をなさっていました。

早速その成果をゲット。

 

マリー・アントワネット

著者:惣領冬実  発行:講談社  モーニングKCDX

 

フランス革命の中、断頭台に散った悲劇の王妃マリー・アントワネット。

ヴェルサイユ宮殿の監修をうけ、最近の研究成果をもとにツヴァイク

マリー・アントワネット」(日本なら+「ベルサイユのばら」)などによって

ほぼ固まってしまった彼女のイメージを改めたいという意図を込めて製作された

物語であるため、アントワネット夫妻に擁護的な内容になっております。

 

マリー・アントワネット (KCデラックス モーニング)

マリー・アントワネット (KCデラックス モーニング)

 

 

 

コミックスの表紙は豪華な装丁が施され、ヴェルサイユ宮殿監修の公式ロゴが

入ってたり「惣領冬実の最高傑作!」なんて大々的なうたい文句の帯がついて

ますけど、いかんせん4話分160Pでは短すぎて判断がつきかねますよ。

大きく出ちゃったなぁ…。

 

ギロチン・革命はおろかフェルゼンの登場無し、デュ・バリー夫人との全面対決

すらもなし。ストーリーを駆け足で説明するとハプスブルク家の小さくて可愛らしくて

素直な皇女が国家間の同盟のために優しい家族と別れ遠いフランスのノッポな王太子

夫婦となりに旅立ったよ、太陽王ルイ14世の定めたしきたりにガチガチの

ヴェルサイユ宮殿の中で寂しさや息苦しい人間関係に悩むこともあったけど、

旦那様とはなんとか心が通じ合うことができたよ良かったね! フランス王家よ

永遠に!…って感じです。そして第一話、プチ・トリアノン離宮で暮らす王妃と

子どもたちを訪ねるルイ16世の姿に戻ります。

 

ヴェルサイユ宮殿監修」は伊達じゃなく、豪華絢爛な宮殿での王侯貴族の暮らしっ

ぷりが素晴らしく精緻に、丁寧に描かれています。オーストリアの皇宮でのびのび

育った愛らしい小鳥が閉じ込められた馬鹿馬鹿しい鳥かごとしての側面までも。

おまけに巻末に登場人物や時代背景関連の資料もついてます。

 

ただ、マンガとしての面白さと、史実に忠実であることは全くの別問題です。

(「チェーザレ」にも当てはまりますが)

ヴェルサイユ宮殿側としては冒険しないマンガの方がありがたいでしょうけど…。

アントワネットが心の中で「イラっときた」「ヤバい」など完全に現代の女の子口調に

なるのはご愛嬌として。可愛い女の子が可愛いドレスを次々と着こなす姿を見るのは

楽しいですね。

 

私個人が「ベルサイユのばら」のイメージを切り離せなかったりマンガとして面白いと

思えなかったりしても、夫婦仲が良いにこしたことはないわけです。  

世間になんと言われようが家族と一緒に幸せな時間さえ過ごせたらそれでいい、とは

立派な心がけですけれども、国王夫妻としてその姿勢では許されなかったということ

ですね…。読者のほとんどは破滅の結末を知っているはずですから。

二人の幸せな姿を見ると、嬉しさとともに悲しみもこみ上げてきます…。

 

 

大仰な帯によれば今月の終わりから東京でヴェルサイユ宮殿監修の「マリー・アントワ

ネット展」が開催されるとのこと。つまり便乗企画みたいなものかなぁ…ダヴィンチや

ミケランジェロの展覧会の時も書き下ろしの冊子を出してたし、惣領先生はそういう

立ち位置なんでしょうか。

 

 

どうせ便乗ならとことん…ということでこういった書籍も併せて発行された

そうですよとご紹介。

 

マリー・アントワネットの嘘

マリー・アントワネットの嘘

 

 

200年以上に亘って中傷され続け、あるいは擁護されてきたことが、

アントワネットという”歴史上の人物”が魅力的な、多くの人に愛されてきた女性で

あることを証明していると思わずにいられないのでした。